2023.09.12 2023.09.14

映画『劇場版シティーハンター　天使の涙（エンジェルダスト）』レビュー

レッド

”続編ありきの映画なので次回作に期待”

監督はシティーハンターのTVシリーズ、前作『劇場版シティーハンター　新宿プライベート・アイズ』のこだま兼嗣。

『劇場版シティーハンター　新宿プライベート・アイズ』の完成度が非常に高く、シティーハンターの作品としても、一つの映画作品としてもクオリティが高い作品であったため楽しみにしていた作品です。

観た感想としては良く言えば無難で悪く言えばありきたりと言った印象をもちました。

ネタバレは多少ありますので一応ネタバレ注意とさせていただきます。

それでは映画『劇場版シティーハンター　天使の涙（エンジェルダスト）』のレビューをしていきたいと思います。

1 作品紹介・あらすじ
- 1.1 解説
- 1.2 ストーリー
2 感想
3 総評

作品紹介・あらすじ

解説

逃れられない因縁が冴羽獠(シティーハンター）に突きつけられた時、最終章の幕が上がる！

1985年、『週刊少年ジャンプ』にて北条司が連載を開始した『シティーハンター』。単行本の累計発行部数は5,000万部を超え、TVアニメシリーズから約20年ぶりの復活となった2019年公開の『劇場版シティーハンター <新宿プライベート･アイズ>』は観客動員100万人を超える大ヒットを記録した。

そして、待望の劇場版アニメ最新作が2023年9月8日に公開決定！

制作はアニメシリーズを歴任してきたサンライズに加え、映画『すずめの戸締まり』の制作にも携わったアンサー・スタジオを迎えた強力タッグ。前作に引き続き、TVシリーズ初代監督・こだま兼嗣が総監督としてスタッフ陣を牽引していく。脚本は初参加のむとうやすゆき（『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』脚本、『東京リベンジャーズ』シリーズ構成）が務める。
声優陣は冴羽獠役の神谷明、槇村香役の伊倉一恵を筆頭にオリジナルキャストが再集結！
さらに、依頼人・アンジー役はフランス版実写映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』で香の吹き替えを担当した沢城みゆき。獠を狙う組織の傭兵・ピラルクー役に関智一、その相棒・エスパーダ役に木村昴。獠の過去を知る男・海原神役は堀内賢雄が演じる。

そして、エンディングテーマに欠かせない『Get Wild』に加え、TM NETWORKが本作のために書き下ろした新曲『Whatever Comes』がオープニングテーマに決定！
『シティーハンター』の最終章をより鮮やかに彩っていく。
INTRODUCTION |「劇場版シティーハンター天使の涙(エンジェルダスト)」公式サイト | 大ヒット上映中 (cityhunter-movie.com)

ストーリー

冴羽獠は裏社会ナンバーワンの実力を持つ始末屋スイーパー“シティーハンター”。
新宿を拠点にパートナーの槇村香と様々な依頼を受けている。
新たな依頼人は動画制作者・アンジー。その依頼は…何と逃げた猫探し！
獠はアンジーの美貌に、香は高額の報酬に胸を躍らせる。

警視庁の野上冴子は海坊主と美樹の協力を得てバイオ企業ゾルティック社の発明について捜査する。それは謎の組織の依頼で作られた戦場の兵士を超人化する闇のテクノロジーで、かつて獠を蝕み、パートナー槇村秀幸を死に追いやった「エンジェルダスト」の最新型だった。

猫探しに奔走する中、アンジーの命が狙われる。
依頼の真意を語ろうとしないアンジーは動画に映る獠を見つめ、ひとり呟く。
「これがあなたの『最高傑作』なのですか？」

「エンジェルダスト」を求めて現れる暗殺者たち。
壮絶な戦いに巻き込まれていく獠たちを遠く見つめる男。
それは獠の育ての親・海原神――

海原がその銃口を定める時、宿命の対決が始まる！
STORY |「劇場版シティーハンター天使の涙(エンジェルダスト)」公式サイト | 大ヒット上映中 (cityhunter-movie.com)

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感想

本作は続編ありきで制作された作品なので一作で完結しない作品となります。2019年に公開された『劇場版シティーハンター　新宿プライベート・アイズ』がラストまで完璧な作品だっただけに、これから盛り上がるというところで映画が終わるため賛否が分かれてしまうかもしれません。

しかし、序章という点では充分なクオリティに仕上がっていると感じました。ストーリーとしてはシンプルで冴羽獠のもとに猫探しという建前で近づいてきた女性アンジー。アンジーは謎の組織に命を狙われる。

やがて戦場の兵士を超人化する闇のテクノロジーで、かつて獠を蝕み、パートナー槇村秀幸を死に追いやった「エンジェルダスト」の最新型を巡っての波乱に巻き込まれていくといったもの。

危険な兵器や薬物を巡って主人公や敵陣が激闘を繰り広げるのは、良く言えば王道で悪く言えばありきたり。個人的には、既視感が強く手放しには褒められないと感じました。また、シティハンター特有のノリに尺を多く使っており、獠や香とアンジーとの絆があまり描けていなかったように感じました。

香とアンジーとの絆に関しては、一緒に料理を作ったりスイーツを食べたりと二人が仲良くなる描写があるものの、獠とアンジーの場合は基本アンジーは獠にセクハラされて獠と香のイチャイチャを見せられているだけなので絆が深まっていくには無理があるなといった感想です。

また、アンジーのキャラクター性もブレてしまっているところがチラホラ見受けられます。まず、動画投稿を意識してトレンドを探している描写があり現代の女の子のような一面があったと思えば、スイーツを食べたこともなくスイーツに感動したりとシーンによってキャラクター性が大きく異なり違和感を感じるところがありました。

アンジーというキャラクターを上手く掘り下げられていないこともあって、ラストの展開で感動することができず、脚本の弱さを感じてしまいました。また、敵キャラも下っ端感が強く獠を追い詰めるキャラクターとしては役不足だと思いました。そのため、物語全体を通して緊張感のようなものがなく、最後のあるキャラクターとの戦闘以外はハラハラもドキドキもすることがなく退屈に感じてしまいました。

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総評

本作は物語の序章の作品としては平均的な作品で、特別素晴らしい作品でもなければ悪い作品でもないといった印象の映画です。序章なので当然ストーリーは完結しないので次回作を観ないことには正しく評価することは難しいと感じました。

新規のキャラクターの魅力がイマイチ伝わってこなかったことと、シティーハンターのお馴染みのノリに時間を使い過ぎて本編のストーリーが停滞してしまうことが多く、テンポは良いとは言えません。

ストーリーに関しても、この手の物語は依頼主だと思ってた人物の秘密が徐々に明らかになって最初の印象からは想像のつかないキャラクターになっていくと面白いと思うのですが、アンジーは提示した報酬額などから最初からただの依頼主ではないことはバレバレですので物語が進むにつれて印象がドンドン変わっていくといった楽しみは全くありませんでした。