映画評価

映画『ONE PIECE FILM RED』レビュー

レッド

”尾田栄一郎監修のワンピース映画としては評価されすぎ”

監督は「コードギアス」シリーズや「プラテネス」の谷口悟朗で過去に手掛けた「コードギアス」と「プラテネス」はどちらも自信をもって他人に勧められる神作だと思っています。

傑作を連発してきた監督がワンピースの映画を制作すると聞いたら期待しないわけにはいきません。興行収入としても大ヒットとなっており、再上映されても100億円を突破する勢いの衰えないワンピースの凄さが証明された作品でもありました。

しかし、実際に鑑賞した感想としては手放しに絶賛することはできない作品で評価に困る作品となっていました。

ネタバレはありとなっていますので、ネタバレ注意とさせていただきます。

それでは映画『ONE PIECE FILM RED(ワンピース フィルム レッド)』のレビューをしていきたいと思います。

作品紹介・あらすじ

作品紹介

2022年7月で連載開始25周年となる大ヒットコミック「ONE PIECE」の劇場版アニメ。長編劇場版通算15作目で、原作者の尾田栄一郎が総合プロデューサーを務める“FILMシリーズ”としては、2016年公開の「ONE PIECE FILM GOLD」以来4作目。

素性を隠したまま発信される歌声が「別次元」と評され、世界でもっとも愛される歌手ウタが、初めて公の前に姿を現すライブが開催されることになった。そのことに色めき立つ海賊たちと、目を光らせる海軍。ルフィ率いる麦わらの一味は、何も知らずに、ただ彼女の歌声を楽しみに会場にやってきた。世界中から集まったファンが会場を埋め尽くし、いよいよ待望の歌声が響き渡ろうとしている。しかし、ウタが「シャンクスの娘」であるという事実が明らかになったことから、事態は大きく動き出していく。

監督は「コードギアス」シリーズや「プラテネス」などで知られる谷口悟朗。「ジャンプ・スーパー・アニメツアー‘98」内で上映された「ONE PIECE」初のアニメ作品「ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック」で監督デビューした谷口監督が、それ以来に「ONE PIECE」作品を手がけた。ウタ役は声を声優の名塚佳織、歌唱を歌手のAdoが担当し、映画の大ヒットとあわせて楽曲も注目を集め、ウタがアニメキャラクターとして初めてNHK紅白歌合戦に出場するなど大きな話題となった。映画は公開から終映までの177日間で興行収入197億円、観客動員数1427万人を記録。さらに2023年10月から1カ月間限定のアンコール上映が行われ、興行収入は203.3億円、観客動員数1474万人となった。

2022年製作/115分/G/日本
配給:東映
劇場公開日:2022年8月6日

ONE PIECE FILM RED : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)
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感想

本作は、原作でもバックボーンや戦闘シーンすらまともに描かれていないシャンクスのエピソードが語られるということもあり公開前から非常に注目をされていた作品となります。

実際はパラレルワールド扱いで原作ではルフィの食べた実が”ヒトヒトの実 モデルニカ”であることが判明しギア5となる前にビックマムはマグマに落ちて死亡します。

しかし本作では、ルフィがギア5になりますがビックマムは普通に生きています。このことからもこの映画のストーリーは原作とは異なる時間軸で進んでいるか、正史だとするならば矛盾していることになります。

個人的な感想としては、パラレルワールドなのだとしたら本作はそこまで絶賛されるほどの映画とは思えませんでした。ひどいとかつまらないとまではいきませんが尾田栄一郎が監修している作品としては正直評価されすぎだと感じてしまいました。

要因の一つとしてこの映画のキーとなるキャラクターのウタに魅力があまりなかったことが一番の原因だと思います。ウタは「ウタウタの実」の能力者で、自分の歌声を聞いた人間の意識を現実世界そっくりの仮想空間「ウタワールド」に引き込むことができる。

このチート能力を使い、世界中のファンや苦しんでいる人々をウタワールドに永遠に閉じ込め、「辛いことや悲しいことが一切無い世界」であるウタワールドという楽園で永遠に楽しく暮らす「新時代」を実現することである。ウタワールドは自身が眠ると消えてしまうため、ネズキノコを食べることで眠らないようにし、自らの死によって、大勢の人の意識を引き込んだウタワールドに永遠に閉じ込めようとしていた。

自己犠牲と「辛い現実から逃げたい」というファンのことを思っての行動で世界中の人をウタウタの実の能力とネズキノコを使った計画で助けたいという気持ちは理解できなくもないですが、現実世界から永久に仮想世界に閉じ込めようとする過激な思考に全く共感できませんでした。

また、ウタのファンの人達にも家庭があったり、辛いこともあるけど現実の生活が好きと言う人もいて、現実世界に戻りたいという人々の声を無視してウタは自分の計画を実行する描写がありますが、それもどうかと思いました。

なんか一部の人の声だけを拾って大勢の人々を自分の判断だけで一括りにしようとする考え方って独裁者と大して変わらないのだけど、現実では独裁者は嫌われ、アニメでは魅力的なキャラクターとして持ち上げられるのって少し疑問が残りました。

あともう一つ受け入れられなかった要因が、現在ではSNSが主流の時代でこの流れを無理やりワンピースの世界とリンクさせようとしているところ、youtubeやtiktokなどで動画を投稿したり配信したりして自分の歌を世界中の人に聞いてもらうようにウタも世界中の人たちに自分の歌声を届けようとするのですがワンピースがこれまで描いてきた世界観と科学技術と全く合っていないように感じてしまいました。

エッグヘッド編で科学技術が、私たちの生きている世界と大差ないほど発展している描写が出てくれば違和感は消えますが、少なくとも上映された時点では電話ではなく電伝虫を使って連絡をとりあっている世界観で、映像電伝虫で現実世界でのSNSと同じことをやるのは無理があると思いました。

悪い部分ばかりのレビューをしてしまいましたが、良かったところも当然あります。特に戦闘シーンの作画は迫力があり、原作やアニメではほとんど戦闘描写のないシャンクスの戦闘シーンが描かれていたりと貴重な映像が見られる点は本作をつまらないと一言で切り捨てられない理由です。

特に最後のルフィとシャンクスの渾身の一撃を同時に叩き込むシーンはワンピースファンとしては素直に熱くさせていただきました。現在ではアマプラやネトフリなどのサブスクでも配信されているので気になる人は無料で見ることができます。


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