映画『星を追う子ども』レビュー
”新海誠作品というよりもスタジオジブリ作品”
監督は「君の名は。」「すずめの戸締まり」などを手掛けた今では知らない人がめずらしいくらい有名な監督の新海誠。
この作品は一言で表すとスタジオジブリの要素が強すぎる作品で、新海誠の作品を観ているというよりもスタジオジブリの作品を観ている感覚が強い作品となっています。
ネタバレは多少していますので、一応ネタバレ注意でお願いします。
それでは映画『星を追う子ども』レビューしていきたいと思います。
作品紹介・あらすじ
作品紹介・あらすじ
「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」など繊細な心理描写と緻密な映像美で知られるアニメーション作家・新海誠が、「秒速5センチメートル」以来5年ぶりに手がけたオリジナル長編作。少女アスナが父の形見の鉱石ラジオで聞いた不思議な音楽をきっかけに、大冒険へと旅立つ姿を描くジュブナイルアニメ。美術監督の丹治匠、音楽の天門ら新海作品を支えるおなじみのスタッフが集う。
2011年製作/116分/G/日本
星を追う子ども : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)
配給:メディアファクトリー、コミックス・ウェーブ・フィルム
感想
本作を一言で表すと、スタジオジブリのような作品。キャラクターデザインから世界観、ストーリーと全てがどこかで見たようなスタジオジブリ作品を彷彿とする。新海誠作品というよりもスタジオジブリの作品を観ているような作品です。
主人公は幼い頃に父親を亡くしていてシングルマザーの家庭で育ってきた。母親が居ない時でも食事や風呂など身の回りのことはある程度できるほどの子供で、この作品における敵キャラも同じように人の死を経験しているキャラクターになります。
この作品の敵キャラに当たるキャラクターが主人公の学校の新任の教師になります。教師は妻を亡くしており、死を受け入れ切れていません。死を受け入れられない新任の教師を同じように家族を幼い時に亡くしてしまっている主人公が知り成長する物語と作品を通してやりたいことは分かりますが、前述した通りスタジオジブリの要素が強すぎて新海誠の作品として観ると首を傾げてしまう作品であることは間違いありません。
新任の教師も天空の城ラピュタを彷彿とさせられますし、主人公の隣にいるペットみたいな動物「ミミ」も風の谷のナウシカの「テト」を彷彿とさせられます。
映画を通して伝えたいことは分かるけど、スタジオジブリの要素が強すぎて新海誠の作品が好きな人でも違和感を感じてしまう作品というのが正直な感想です。
総評
新海誠作品というよりもスタジオジブリの作品を観ているような作品で、どちらかというとリアル寄りの作風に少しファンタジー要素を入れる新海誠の持ち味が全く生かされていない作品だと感じました。
スタジオジブリの二番煎じのこの作品を観るなら素直にスタジオジブリの名作を鑑賞するよと言いたくなるような残念なクオリティとなっています。
「言の葉の庭」や「君の名は。」などの作品を観て過去の新海誠の映画を鑑賞しようと思っている人は肩透かしをくらう作品なので、個人的にはあまり人にオススメできない映画だと感じました。