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映画『思い、思われ、ふり、ふられ』レビュー

レッド

”謎企画だが少女漫画映画の傑作”

監督はテレビアニメ「舟を編む」を手がけた黒柳トシマサ、脚本は吉田恵里香。

アニメーション制作ははA-1 Picturesとなっています。同年にアニメ版と実写版が公開と企画として意図が良く分からない作品ですが、実写版は微妙ですがアニメ版のクオリティは非常に高くストーリー、キャラクター、作画と全てにおいて高水準の青春恋愛映画となっていました。

ストーリーは王道で見る人を選ばない映画で恋愛映画が好きな人には気持ちよく見ることのできる映画だと思います。

ネタバレは物語の結末などはしていませんが、多少のネタバレを含みますので一応ネタバレ注意でお願いします。

それではアニメ版の映画『思い、思われ、ふり、ふられ』レビューをしていきたいと思います。

作品紹介・あらすじ

作品紹介・あらすじ

「ストロボ・エッジ」「アオハライド」で人気の漫画家・咲坂伊緒による青春恋愛コミックをアニメーション映画化。偶然出会ったタイプの全く違う朱里と由奈。朱里の義理の弟の理央と由奈の幼なじみの和臣。4人は同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生だ。由奈は理央に憧れ、理央は朱里に言えない思いを抱き、朱里は秘密を抱え、和臣はある秘密を目撃してしまう。それぞれの思いが複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどにすれ違っていき……。監督はテレビアニメ「舟を編む」を手がけた黒柳トシマサ。脚本に「ヒロイン失格」の吉田恵里香。アニメーション制作はA-1 Picturesが担当。声の出演は潘めぐみ、島崎信長、斉藤壮馬という人気声優陣と、新人の鈴木毬花。実写映画版「思い、思われ、ふり、ふられ」キャストの浜辺美波、北村匠海、福本莉子、赤楚衛二も文化祭に来ている男女生徒役などで声優としてカメオ出演している。

2020年製作/103分/G/日本
配給:東宝

思い、思われ、ふり、ふられ(アニメ版) : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)

感想

本作の率直な感想は王道なストーリーで少女漫画の面白さが充分に詰まった傑作級の作品だと感じました。恋愛漫画原作の映画で一番の重要なポイントはキャラクターに魅力があるかということ、キャラクターそれぞれに魅力がなければ恋を応援する気にもなれませんし、ストーリーにも引き込まれません。

その点、本作のメインキャラクター4人はそれぞれが個性的で魅力の詰まったキャラクターになっていました。メインキャラクターの由奈は理想的な男性として白馬に乗った王子様を連想するような少女漫画の女の子といったキャラクターですが恋には消極的で中々一歩を踏み出すことが出来ない人物として描かれています。

本作において最も成長を感じられるキャラクターで、引っ込み思案だった彼女が自ら行動をして恋を成就させようと奮闘する姿は素直に応援できますし、自分が傷つくことを避けてきた女の子が勇気を出して行動していくのは簡単なことではありません。傷つくことを理解してそれでも一歩踏み出す行動は観ている人にも勇気を与えてくれますし、挫けそうになる彼女に共感もできます。

またメインキャラクターの朱里のストーリーも興味深く、朱里と理央は恋が成就するはずだったが最悪なタイミングで両親が結ばれてしまい恋人になるはずだったのにも関わらず家族になってしまう。そのため実質的に恋愛関係が維持できなくなってしまう。そのため、朱里は由奈とは対照的に恋に現実的で少し冷めた感情を抱いてしまっています。

もう少しで恋が実るというタイミングで少し変わった形で失恋となってしまい、恋愛に対してマイナスな感情を抱いてしまう彼女の気持ちにも理解できますし、由奈との関りを通して気持ちがどんどん変化していく描写は恋愛漫画の面白さが詰まっており、朱里にも共感できます。

恋愛のストーリーとしても、綺麗な四角関係になっており先の展開が思わず気になってしまうストーリとなっています。誰かが一歩踏み出してしまうと関係性が崩れてしまうのではないかという絶妙な関係性となっているため一本の青春恋愛映画としても最大限楽しめる映画だと感じました。


総評

本作は、同年にアニメ版と実写版が公開された企画としては謎の映画でした。実写版の方を先に観て微妙といった感想を抱いてしまったため、期待はしていませんでしたがアニメ版では少女漫画の面白い部分が詰め込まれたような作品となっていました。

アニメーション制作がA-1 Picturesということもあり作画も綺麗で安心して見ることができますし、監督はテレビアニメ「舟を編む」を手がけた黒柳トシマサということもあって原作から映画化するにあたっての改変が素晴らしかったです。

しかし、原作のエピソードを映画という尺に収めるために朱里と和臣の恋愛のストーリーが若干駆け足だったのが本作の唯一の気になったポイントです。しかし、ストーリーとアニメーション、キャラクターの魅力とどれをとっても青春恋愛映画としての完成度は高いと感じました。

恋愛映画においてキャラクターの魅力が感じられるのは本当に素晴らしく、登場人物に不快なキャラクターがいないのは評価できるポイントです。少女漫画だと大抵一人くらいは相手を落とし込もうとする憎まれ役のようなキャラクターがいますが本作では、そういったキャラクターは一人もいません。

そのため観終わった後に引っかかる要素がなく、気持ちよく鑑賞することができます。青春恋愛映画で面白い作品を探している人には全力でオススメできる作品です。

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