”ルギア爆誕の名曲、ウソッキーに泣かされる映画『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』レビュー”

映画『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』レビュー
夏の風物詩でもあった「夏はポケモン!」といったCMが、『劇場版ポケットモンスター ココ』以降聞かなくなってしまいました。
サトシの映画において『水の都の守り神』以降は悪役の幻のポケモンや伝説のポケモンを利用して世界征服といった野望をサトシが阻止する展開が定番化しておりマンネリ化していました。
そのため興行収入的にも年々右肩下がりで、配布ポケモンをもらうためにつまらない映画を仕方なく見るといった人も少なからずいました。
しかし本作『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』と次回作『劇場版ポケットモンスター ココ』は、良い意味でポケモン映画らしくない久しぶりに面白いと思える映画でした。
それでは、映画『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』のレビューをしていきたいと思います。
ストーリーのネタバレは基本していませんが、あらすじなど少しストーリーにふれた感想を書いているためその点は注意してください。

作品紹介・あらすじ

あらすじ・解説
人気アニメ「ポケットモンスター」シリーズの劇場版第21作。前年公開の「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」から始まった、サトシとピカチュウの新しい冒険を描き、今作には伝説のポケモン「ルギア」が登場。1年に一度の祭りでルギアから恵みの風がもたらされる街フウラシティを舞台に、新しい仲間たちとの物語が紡がれる。1年に一度の風祭りの最終日に、ルギアからの恵みの風がもらえるというフラウシティ。偶然、祭りに参加していたサトシとピカチュウは、リサ、カガチ、トリト、ヒスイ、ラルゴという5人の仲間と出会う。それぞれが悩みを抱え、パートナーのポケモンと一歩を踏み出せずにいる5人との出会いが、運命の歯車を回し始める。芦田愛菜、川栄李奈、濱田岳、大倉孝二、野沢雅子のほか、シリーズおなじみの中川翔子、山寺宏一がゲスト出演する。
2018年製作/100分/日本
配給:東宝
劇場公開日:2018年7月13日
劇場版ポケットモンスター みんなの物語 : 作品情報・声優・キャスト・あらすじ・動画 – 映画.com

感想
登場人物全員が主人公、サトシを通して成長するみんなの物語

この映画の評価ポイントは悪役が伝説や幻のポケモンを利用しそれを阻止する単純な物語ではなく、キャラクター一人一人にスポットが当たっており「フウラシティ」を守るためにそれぞれが自分の強みを、自分の殻を破り成長する姿が丁寧に描かれていたことだと思います。
いつも嘘ばかりついて自分を偽って生きているおじさんカガチ、ポケモン嫌いのおばあちゃんヒスイ、自分の夢をあきらめてしまった女の子リサ、消極的で自分の気持ちを伝えることが苦手な青年トリト、ゼラオラと何かありげな少女ラルゴ。
個性豊かなキャラ達の成長過程を映画の中で描写されており、それぞれが主人公と言っても過言ではないため、どのシーンを切り取っても退屈することなく楽しめると思います。


また、それぞれの登場人物達にスポットがあたり主人公であるサトシが空気になるということもなく、登場人物達の成長にサトシが影響している。だからこそ、この物語はサトシだけの物語ではなく、カガチ、ヒスイ、リサ、ラルゴ、トリトなどサブキャラ達の物語でもある。
だからこそみんなの物語なのだと思いました。一つ懸念点があるとすれば、スケールとしては少し地味であること、それでつまらないという感想になる人もいるかもしれません。
しかし決して面白くない作品ではありません。むしろ映像的な迫力ばかりに注力してきたポケモン映画よりも、内面的な部分を丁寧に描かれているため深みが増しており面白い映画に仕上がっています。
公開日前はサトシのキャラデザがかわいいといった感想や、ルギア爆誕の音楽が流れたことなど話題となっていましたが、興行収入的には厳しい結果で終わってしましました。ただし、個人的には、本作こそもっと評価されるべき映画だと思います。
現在では次回作の不遇の名作『劇場版ポケットモンスターココ』もアマプラなどのサブスクで無料で視聴することが出来るため、ルギア爆誕が世代の人だけでなく、当然子供も面白いと思える内容になっているので泣けるポケモン映画が見たいという人は合わせて視聴することをオススメします。
