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映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』レビュー

レッド

”設定を生かしきれていないところもあるが良作な青春恋愛映画”

監督は「四月は君の嘘」のイシグロキョウヘイ。

「四月は君の嘘」が傑作級のアニメ作品だったこともあり、非常に期待値の高かった映画でした。

興行収入も爆死とまでは行かないまでも伸び悩む結果とはなってしまいましたが、総合的には良質な作品だと感じました。

設定を生かしきれていないなど手放しには褒められる作品ではありませんが、オススメできる王道の青春恋愛映画だと思います。

ネタバレはありますのでネタバレ注意とさせていただきます。

それでは映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』レビューをしていきたいと思います。

作品紹介・あらすじ

解説

市川染五郎×杉咲花!
歌舞伎界の超新星と若手トップ女優の競演が弾ける!

17回目の夏、君と会う⸺。
人とのコミュニケーションが苦手な俳句少年と、コンプレックスを隠すマスク少女。
何の変哲もない郊外のショッピングモールを舞台に出逢ったふたりが、
言葉と音楽で距離を縮めていく、ボーイ・ミーツ・ガールStory。
その主人公であるチェリー役には、初映画、初声優、初主演となる
歌舞伎界の超新星・八代目 市川染五郎を起用!
一方、ヒロインのスマイル役は、若手随一の確かな表現力で高い評価を受ける杉咲花が担当。
フレッシュな競演が「ひと夏のできごと」を輝かせる!

「四月は君の嘘」のイシグロキョウヘイ監督、初のオリジナル劇場作品が弾ける!

「四月は君の嘘」、「クジラの子らは砂上に歌う」などを手掛け、
繊細で叙情的な演出に定評のあるアニメーション監督・ イシグロキョウヘイ。
バンドで活動した経歴を持ち、音楽にも造詣が深い彼が、
言葉×音楽をキーワードに、少年少女の「ひと夏の青春」を描いたオリジナルアニメが
『サイダーのように言葉が湧き上がる』である。

フライングドッグ10周年記念作品!こだわり抜かれた音楽がスクリーンで弾ける!

音楽制作を務めるのは、「マクロス」シリーズをはじめ、

劇場版オリジナルアニメ『サイダーのように言葉が湧き上がる』公式サイト (cider-kotoba.jp)

ストーリー

17回目の夏、地方都市⸺。
コミュニケーションが苦手で、人から話しかけられないよう、
いつもヘッドホンを着用している少年・チェリー。
彼は口に出せない気持ちを趣味の俳句に乗せていた。
矯正中の大きな前歯を隠すため、
いつもマスクをしている少女・スマイル。
人気動画主の彼女は、“カワイイ”を見つけては動画を配信していた。

俳句以外では思ったことをなかなか口に出せないチェリーと、
見た目のコンプレックスをどうしても克服できないスマイルが、
ショッピングモールで出会い、やがてSNSを通じて少しずつ言葉を交わしていく。

ある日ふたりは、
バイト先で出会った老人・フジヤマが失くしてしまった
想い出のレコードを探しまわる理由にふれる。
ふたりはそれを自分たちで見つけようと決意。
フジヤマの願いを叶えるため一緒にレコードを探すうちに、
チェリーとスマイルの距離は急速に縮まっていく。

だが、ある出来事をきっかけに、ふたりの想いはすれ違って⸺。

物語のクライマックス、
チェリーのまっすぐで爆発的なメッセージは心の奥深くまで届き、
あざやかな閃光となってひと夏の想い出に記憶される。

アニメ史に残る最もエモーショナルなラストシーンに、
あなたの感情が湧き上がる!

劇場版オリジナルアニメ『サイダーのように言葉が湧き上がる』公式サイト (cider-kotoba.jp)

感想

本作の主人公は人とコミュニケーションをとることが苦手の常にヘッドホンをしているチェリーでヒロインは出っ歯であることがコンプレックスなスマイル。このコンプレックスの描き方が少し中途半端に感じてしまったのが素直な感想です。

ヘッドホンをしてコミュニケーションをとることが苦手ではあるもののコミュ障というわけではなく、出っ歯がコンプレックスではあるものの歯の矯正を始めており数年後には自然とコンプレックスは解消される。もっとコンプレックスの描き方を深刻な悩みとして描けていればキャラクター性にも深みが出たように感じました。

いきなりマイナスな部分ばかり言ってしまいましたが、悪い部分ばかりではありません。チェリーとスマイルの恋愛模様は素直に良くできていたと感じます。恋愛を現在の時代にしっかりアップデートしており、今だからこその恋愛と言うものを作品内で表現できています。

チェリーは「俳句」という形でしか自分の想いを表現できません。そんな彼の声を褒めてくれたスマイルにチェリーは恋をして二人の恋物語が始まるわけですが、スマイルは直接言葉でチェリーにアプローチしていくのではなく、チェリーの俳句のツイートに「いいね」をすることで彼にアプローチをしていきます。

この「いいね」をしたことによってスマイルのアカウントを特定することができ二人は相互フォローすることに成功し、二人のSNSを通じて自分の気持ちを伝えていく描写は、まさに現代ならではの恋愛の形であり上手く表現できていると感じました。

チェリーは近いうちに遠くに引っ越すことが決まっており、遠距離恋愛をする自信があるわけでもないため自分の恋心に気付かないようにしていました。しかしチェリーとスマイルは同じバイト先ということもあり、おじさんの探しているレコードを探すという共通の目的が生まれてSNSでしかやり取りのなかった二人に一緒にいる時間が増えて、より親密になっていきます。

後半でチェリーはスマイルに対しての恋心を俳句という形で表現し、スマイルもチェリーに自分の気持ちを彼にぶつけますが、やはりお別れが確定していることもあってチェリーは自分の気持ちに嘘をつき、彼女の気持ちを受け止めることができません。

自分の気持ちを「俳句」という形でしか表現できなかったチェリーが物語の終盤を迎えて、大きな成長を遂げます。この成長の過程だったり甘い恋愛の物語こそが本作の見所だと感じます。


総評

本作は、「四月は君の嘘」という傑作級のアニメーション作品を制作したイシグロキョウヘイ監督ということもあって人間の心理描写だったり、ストーリー構成が非常に丁寧に制作されているのが伝わってくる作品でした。

自分の気持ちを表現することが苦手な少年が一歩踏み出す、コンプレックスを抱えている少女が彼に自分の気持ちをストレートにぶつけていく成長の描写は本作を観る上で面白いポイントだと思います。

特に恋愛の描写に関しては、思わず登場人物に感情移入してしまい応援したくなるような気持にさせてくれるのは素直に評価できる要素だと感じます。

一方で設定を上手く生かしきれていない箇所も多々見受けられて、良い所が多いだけに面白いと感じる人とつまらないと感じる人がハッキリと分かれてしまう印象も受けました。

しかし総合的に観れば良く作られた青春恋愛映画なので一度観てみる価値は充分にある作品だと思います。

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