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映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』レビュー

レッド

 岡田麿里節全開、親子の物語に感動。

監督と脚本は岡田麿里、アニメーション制作はP.A.WORKS

2018年に公開のアニメ映画となっており個人的には2018年に公開された映画の中では最も高く評価している映画となっています。

主人公のマキアとエリアルの親子の物語として非常に感動させられる映画となっています。

しかし手放しに完璧とは言えず、荒も結構目立つ映画となっています、映画としての魅力が短所を打ち消すほどあり見終わった後には大変満足のいく映画となっていました。

それでは映画『さよならの朝に約束の花をかざろうのレビューをしていきたいと思います。

物語の結末などのネタバレは控えますが、多少のネタバレは含みますのでネタバレ注意でお願いします。

作品紹介・あらすじ

作品紹介

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」などで知られる脚本家の岡田麿里が初監督を務めたオリジナルの長編アニメーション映画。10代半ばで外見の成長が止まり、数百年生き続けることから「別れの一族」と呼ばれるイオルフの民の少女マキアと、歳月を重ねて大人へと成長していく孤独な少年エリアルの絆の物語が描かれる。人里離れた土地で、ヒビオルと呼ばれる布を織りながら静かに暮らすイオルフの民の少女マキア。ある日、イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる獣にまたがるメザーテ軍が攻め込んできたことから、マキアとイオルフの民の平穏な日々は崩壊する。親友や思いを寄せていた少年、そして帰る場所を失ったマキアは森をさまよい、そこで親を亡くしたばかりの孤児の赤ん坊を見つける。やがて時は流れ、赤ん坊だったエリアルは少年へと成長していくが、マキアは少女の姿のままで……。

2018年製作/上映時間115分/G/日本
配給:ショウゲート

さよならの朝に約束の花をかざろう : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)

あらすじ

縦糸は流れ行く月日。横糸は人のなりわい。
人里離れた土地に住み、ヒビオルと呼ばれる布に日々の出来事を織り込みながら静かに暮らすイオルフの民。
10代半ばで外見の成長が止まり数百年の寿命を持つ彼らは、“別れの一族”と呼ばれ、生ける伝説とされていた。
両親のいないイオルフの少女マキアは、仲間に囲まれた穏やかな日々を過ごしながらも、どこかで“ひとりぼっち”を感じていた。
そんな彼らの日々は、一瞬で崩れ去る。イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる古の獣に跨りメザーテ軍が攻め込んできたのだ。絶望と混乱の中、
イオルフ一番の美女レイリアはメザーテに連れさられ、マキアが密かに想いを寄せる少年クリムは行方不明に。マキアはなんとか逃げ出したが、仲間も帰る場所も失ってしまう……。
虚ろな心で暗い森をさまようマキア。そこで呼び寄せられるように出会ったのは、親を亡くしたばかりの“ひとりぼっち”の赤ん坊だった。
少年へと成長していくエリアル。時が経っても少女のままのマキア。同じ季節に、異なる時の流れ。変化する時代の中で、色合いを変えていく二人の絆――。
ひとりぼっちがひとりぼっちと出会い紡ぎ出される、かけがえのない時間の物語。

映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』公式サイト (sayoasa.jp)

評価点

  • 感動の直球ストレート
  • 時系列変化が激しい、サブキャラクターの描写が雑

感動の直球ストレート

両親のいないイオルフの少女マキアは、仲間に囲まれた穏やかな日々を過ごしながらも、どこかで“ひとりぼっち”を感じており、そんなマキアが親を亡くしたばかりの孤児であるエリアルを見付け育てていくことになります。

“ひとりぼっち”のマキアと“ひとりぼっち”のエリアルが血は繋がっていなくても、本当の親子のような関係になっていくのですが、この二人の切ない親子の物語には涙なしでは見られませんでした。

まず、マキアはイオルフという10代半ばで外見の成長が止まり数百年の寿命を持つ一族であり、人間とは年を取る早さが人間と比較にならないほど遅いです。つまり、マキアの成長は止まるもののエリアルは人間なので確実に年を重ねていきます。

最初は、泣いてばかりで引っ込み思案だったマキアが母としての自覚をしていき成長していく物語。血のつながりのある親子でさえ悩むことを、本当の母親になれるためにはどうしたら良いかエリアルのことだけを考えて努力するマキアの姿は応援せずにはいられませんでした。

また、エリアルも成長にするしたがって自分がマキアの本当の子供でないことを理解していきます。反抗期を迎えたエリアルはマキアを突き放し自立していこうとするのですが、マキアもエリアルの自立を母親として見送らなければなりません。子供が自分(母親)から巣立っていくところを見届けるのも母親の役割だからです。

常にエリアルのことを第一に考え生きてきたマキアが、エリアルが自分のもとから巣立つところを見届けるシーンには感動させられました。

子供の視点と母親の視点でのお互いの感情の描写が丁寧で、本作がターゲットにしているのは、マキアと同じ立場の親で子供を育てている人に向けているように感じる。

特にマキアと同じく母親の人が見ればより共感することができると思います。特に本作の岡田麿里監督の脚本には、泣かせようとしてるのがあからさまなのに泣いてしまうような不思議な力を宿しているので、この感動の直球ストレートは刺さる人にはドストライクな映画となっています。

時系列変化が激しい、サブキャラクターの描写が雑

マキアとエリアルの親子の物語は素晴らしいのですが、サブキャラクターの話は雑に描かれてしまっているように感じました。

ドラゴンの赤目病の話や、クリムとレイリアいうキャラクターの扱いは非常に雑で、ドラゴンの赤目病関連のお話は尺が足りなかったのか説明不足でクリムとレイリアのストーリーは岡田麿里の脚本の良くも悪くもリアルなキャラクター描写が悪い方向に行ってしまったというのが素直な感想です。

これらの不満点が映画全体のノイズのようになってしまっており、マキアとエリアルの物語に水を差す形となってしまっているのが残念です。

また時系列の変化も唐突で、さっきまで子供だったキャラクターが場面が切り替わったら数年後に時系列が飛んでいたり、場面が切り替わる際に一旦状況を整理しなくてはストーリーに置いていかれるような作りも不親切だと感じました。

テレビアニメであれば尺を長くとれるので、ゆっくりと物語を進行することが出来たのかもしれませんが、描きたいことが多すぎてストーリーが駆け足になってしまっています。

欠点こそ多いものの映画自体の魅力で欠点さえも霞ませてしまうほどの圧倒的な脚本のクオリティなのも事実で、当然賛否は分かれるとは思いますが刺さる人には本当に刺さる映画となっています。

総評

引っ込み思案でグループの中でも孤独を感じていた“ひとりぼっち”のマキアと、親を失い言葉通り“ひとりぼっち”になってしまったエリアルの親子の物語には号泣してしまうほど感動しました。

母親になるためにはどうしたら良いのか本当に血の繋がりのある親でも考える、子供のために親として何をしてあげられるのだろうという愛情。エリアルの視点でも大人になっていく子供の描写も非常に丁寧で、母親の目線と子供の目線を双方共感できるように描き切っているところは、さすが岡田麿里脚本だなと感心させられました。

時系列の変化が激しすぎること、サブキャラクターの扱いが雑であること、専門用語が多いことなど欠点も多いですが、映画の魅力で全て帳消しにしてしまうくらい魅力的な脚本となっているのも確かです。

マキアとエリアルの結末がどうなっているのか、刺さる人にはラストで号泣するほど感動させられるはずです。

全ての人にお勧めしたい映画ではありますが、親となった人特に母親の人達には絶対に鑑賞してほしい映画となっています。

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