”P.A. WORKSのお仕事シリーズの中では普通過ぎる”

映画『駒田蒸留所へようこそ』レビュー
『花咲くいろは』『SHIROBAKO』『サクラクエスト』を手掛けたアニメーション会社のP.A. WORKSのお仕事シリーズの映画作品。
監督は吉原正行。声優は駒田琉生役で早見沙織、高橋光太郎役で小野賢章、河端朋子役に内田真礼と実力派の人気声優を揃えています。
P.A. WORKSのお仕事シリーズは個人的に『サクラクエスト』はイマイチでしたが、『花咲くいろは』『SHIROBAKO』は素晴らしいアニメ作品だと思っています。そんなP.A. WORKSのお仕事シリーズの映画作品ということで非常に楽しみにしていました。
しかし、実際鑑賞しての評価としてはP.A. WORKSのお仕事シリーズの中では素直に面白いとは思えず、むしろつまらないと思いまいした。それでは映画『駒田蒸留所へようこそ』のレビューをしていきたいと思います。
ストーリーのネタバレは基本していませんが、少しストーリーにふれた感想を書いているためその点は注意してください。
作品紹介・あらすじ

あらすじ・キャスト
世界からも注目されるジャパニーズウイスキーを題材に、崖っぷち蒸留所を再興させるべく奮闘する女性社長と新米編集者が、家族の絆をつなぐ幻のウイスキーの復活を目指す姿を描いた長編アニメーション。
亡き父の跡を継ぎ、家業である「駒田蒸留所」の社長に就任した駒田琉生。経営難に陥った蒸留所の立て直しを図る彼女は、災害の影響で製造できなくなった幻のウイスキー「KOMA」の復活を実現させるべく奮闘する日々を送っていた。そんなある日、自分が本当にやりたいことを見つけられず転職を繰り返してきたニュースサイトの記者・高橋光太郎が、駒田蒸留所を取材に訪れる。
琉生役で早見沙織、光太郎役で小野賢章、蒸留所の広報担当で琉生の幼なじみ・河端朋子役で内田真礼、ニュースサイトの編集長・安元広志役で細谷佳正が声の出演。「花咲くいろは」「SHIROBAKO」のP.A.WORKSがアニメーション制作を手がけた。
2023年製作/91分/G/日本
配給:ギャガ
劇場公開日:2023年11月10日
駒田蒸留所へようこそ : 作品情報・声優・キャスト・あらすじ・動画 – 映画.com
感想
娯楽としては駄作、宣伝作品としては凡作。
災害の影響で製造できなくなった「家族の絆」とも呼べる幻のウイスキー『独楽』の復活を目指すストーリー。駒田蒸留所は地震で施設が倒壊し、ウイスキーの原酒づくりを断念。後を継ぐはずだった兄は会社を去り、父は経営立て直しに奔走する中、過労で亡くなってしまうといった絶望的な状況の中若くして社長となり経営を継ぐ琉生。
『独楽』の復活は絶望的に見える状況で家族のウイスキーを復活させる。筋書きとしては綺麗ですが、ストーリーの運び方が陳腐でつまらない。初めは高橋光太郎はウイスキーに興味がなくそれが仕事にも表れてしまい、無知を晒してしまう場面が多々ありました。
その光太郎が琉生の生い立ちを知ることで、仕事に対してそしてウイスキーに対して向き合っていくのは構成的には素晴らしいと思いますが、前半と後半とで別人のように成長するのはリアリティがない
ウイスキーの魅力を伝えるために制作陣の都合でキャラクターが駒のように動かされているように感じます。作品の中でキャラクターが生きていないだから展開がつまらない。
映画においてキャラクターの魅力は命です。そのキャラクターがスタッフの操り人形にしかなっていないのだから面白い映画になるハズがありません。
この作品を通じてウイスキーの知識や素晴らしさは学ぶことは出来るでしょうが、だからと言ってこの作品が名作であるとは言えません。
中盤の展開においても、無理やり映画として迫力のあるシーンを盛り込みたかっただけなのだろうなと見透かせてしまいます。
また、ラストにおいても想像した通りの結末となり、意外性もありませんでした。良くも悪くもジャパニーズウイスキーの良さを知らしめようとするために制作されただけの広告のための映画にしかなっていません。
映画は娯楽であり楽しめることが大前提ですが、本作は娯楽としてみれば駄作ですが宣伝作品としてみれば普通に見られる作品です。ひどい作品とまでは言いませんがオススメはしません。