映画評価

映画『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~』 レビュー

レッド

ドラマ版「TOKYO MER」を楽しめた人には全力でオススメの映画

本作は。ドラマで放送されていた「TOKYO MER」が映画化された作品です。

僕のドラマ作品の映画化で感じる印象は、映画というよりテレビスペシャルっぽい作品が多いなっていう印象です。スケール感だけ大きくして内容はいつもドラマでやってることを無理やり長尺にしているだけの作品「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」が良い例です。

しかし本作は、映画化した意味のある作品となっていました。映画としてのスケールや映像はドラマスペシャルでは出来ないと思います。

ただ良い点と悪い点どちらもありますので、それをこれからレビューしていきたいと思います。シナリオについてのネタバレはありませんが、一部の展開の流れについて語っているため一応ネタバレ注意とさせていただきます。

作品紹介

横浜が、炎に包まれる―― 前代未聞の緊急事態発生。 地上70階、取り残された193名。

【TOKYO MER】―― オペ室を搭載した大型車両=ERカーで事故や災害現場に駆け付け、
自らの危険を顧みず患者のために戦う、都知事直轄の救命医療チームである。
彼らの使命はただ一つ…『死者を一人も出さないこと』。
横浜・ランドマークタワーで爆発事故が発生。数千人が逃げ惑う前代未聞の緊急事態に。
「待っているだけじゃ、救えない命がある」チーフドクター・喜多見はいち早く現場に向かうべきと主張するが、厚生労働大臣が新設した冷徹なエリート集団【YOKOHAMA MER】の鴨居チーフは「安全な場所で待っていなくては、救える命も救えなくなる」と真逆の信念を激突させる。
地上70階、取り残された193名。爆発は次々と連鎖し、人々に炎が迫る!混乱のなか重傷者が続出するが、炎と煙で救助ヘリは近づけない。まさに絶体絶命の危機…
さらに、喜多見と再婚した千晶もビルに取り残されていることが判明。
千晶は妊娠後期で、切迫早産のリスクを抱えていた…

絶望的な状況の中、喜多見の脳裏に最愛の妹・涼香を亡くしたかつての悲劇がよぎる――
もう誰も、死なせはしない。

命の危機に挑む医療従事者たちの、勇気と絆の物語。
劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』 (tokyomer-movie.jp)

賛否両論点

  • 役者陣の演技が素晴らしい
  • ストーリー展開が同じことの繰り返し
  • 音楽の使い方

役者陣の演技が素晴らしい

本作の一番の評価ポイントは役者陣の演技力が素晴らしいことです。

ドラマで出演されていた役者陣は続投で、ドラマ版の時から演技力の高さは感じていましたが、所謂、大根役者と呼ばれる役者は本作にはいなかったです。

特に素晴らしい演技をしていたのは主役の鈴木亮平さんです。本作では、爆発事故が発生し火の渦の中という危機的状況で誰一人死なせないという使命を背負い職務を全うする主人公を見事に演じ切っていました。

役者陣の演技力が高いことは、気持ちが離れることなく物語に没頭できますし、シーンごとの置かれている状況に説得力が増します。

諦めかけている被害者に勇気を与える場面や、プロモーション映像でもあるようにお腹の子供だけでも助けてほしいという千晶の言葉を受けての苦渋の選択を迫られるシーンでは心を動かされた方も多いのではないでしょうか。

主役を務める俳優が、しっかりと登場人物を演じ切れていることは大きな評価点であると思います。

鈴木亮平だけでなく役者陣の演技力は高く「大根役者」はいない。

ストーリー展開が同じことの繰り返し

役者陣の演技力が高いという評価点の反面、シナリオには気になるポイントがありました。

シナリオ自体悪いということはありません。伝えたいことや描いていることには好感がもてますし魅力のあるストーリーだと思います。

しかしシナリオの構成については、もう少し工夫を凝らすべきだと思いました。

 

危機が訪れる→崖っぷちに立たされる→ギリギリの所で何とかなる

基本この流れが多用されるため、「TOKYO MER」の医療従事者や被害者の身に何かあったとしても、またこの流れかなって読めてしまいますし、緊張感がなくなってしまいます。

確かに医療をテーマとした作品は、救えない命を救うであったり、危機を乗り越えていくことが作品の面白さであり、魅力でもあると思いますがそれでも工夫が必要だと思います。

ストーリー自体の出来は良いが、展開には不満が残る

音楽の使い方

シナリオを盛り上げるために音楽は大切です。しかし本作は音楽がシナリオの主張よりも勝ってしまうことが多々あり悪く言えばお節介に感じてしまうことがありました。

例えば、緊迫したシーンでは音楽で無理やり緊張感を増そうとしてみたり、感動シーンでは無理やり泣かせようとしているのが伝わってきてしまいます。

邦画あるあるではありますが、音楽は本来シナリオを引き立たせるための役割であるのにも関わらず、音楽で無理やり感情を揺さぶろうとする演出。

映像のクオリティが低い作品であるなら、このような音楽の使い方もありなのかもしれませんが、本作は邦画の中でも映像のクオリティは高いのですから、もっと撮影スタッフを信じて音楽の主張を抑えるべきだと思いました。

感動的な音楽になったけど全然泣けないとか、逆に評価を下げる要因になることもあると思います。

映像で表現できているのに、さらに音楽を主張させ過ぎるのは少しお節介に感じます。

総評

本作はドラマで物語を追っていた人には全力でオススメできる作品となっています。ドラマ版が楽しめて、本作は全く楽しめないという方はそれほどいないと思います。

映画ならではのスケールとなっていますし、演出もドラマでは出来ない迫力のある演出となっているので、良くあるドラマスペシャルを映画館で流しましたといった手抜き映画ではありません。

ストーリー自体のできは良いが、シナリオの展開についてはもう少し工夫を凝らしてほしかったと言うのが率直な感想です。音楽については悪い意味で邦画の演出を取り入れてしまい、映像で表現できていることを音楽でも過剰に演出してしまっているのは、「感動の押し付け」のように感じてしまい逆に物語から気持ちが離れてしまうこともありました。

しかし、役者陣や制作スタッフのドラマ版「TOKYO MER」を観てきた人が満足できる作品にしようとする気持ちは充分に本作から伝わってきました。それだけでもドラマの映画化は成功だと言えます。

本作を観ての感想は人それぞれです。感じ方は十人十色ですので、そこだけはご了承ください。

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