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”原作で伝えたかった水墨画の素晴らしさを映画で完璧に表現した映画

レッド

映画『線は、僕を描く』 レビュー

キャストは横浜流星清原果耶とメインキャストからして実力派の二人、また原作のストーリーが好きであったため公開前から非常に期待していた映画です。

実際に鑑賞した感想としても2022年の邦画の中で評価と興行収入が比例していない邦画が何かと聞かれれば『線は、僕を描く』と応えます。

映画として素晴らしい完成度であるにも関わらず、興行収入としては大コケしてしまいあまり良い結果とはなりませんでした。

それでは、映画『線は、僕を描く』のレビューをしていきたいと思います。

ネタバレはなしでレビューしていますので初見の人でも安心して見ていただけると思います。

あらすじ、解説

水墨画の世界を題材にした砥上裕將の青春小説「線は、僕を描く」を、横浜流星の主演、「ちはやふる」の小泉徳宏監督のメガホンで映画化。

大学生の青山霜介はアルバイト先の絵画展設営現場で水墨画と運命的な出会いを果たす。白と黒のみで表現された水墨画は霜介の前に色鮮やかに広がり、家族を不慮の事故で失ったことで深い喪失感を抱えていた彼の世界は一変する。巨匠・篠田湖山に声を掛けられて水墨画を学ぶことになった霜介は、初めての世界に戸惑いながらも魅了されていく。

篠田湖山の孫で霜介にライバル心を抱く篠田千瑛を「護られなかった者たちへ」の清原果耶、霜介の親友・古前を「町田くんの世界」の細田佳央太、霜介に触発されて古前と共に水墨画サークルを立ち上げる川岸を「サマーフィルムにのって」の河合優実が演じ、三浦友和、江口洋介、富田靖子らが脇を固める。

2022年製作/106分/日本
配給:東宝
劇場公開日:2022年10月21日

線は、僕を描く : 作品情報・キャスト・あらすじ・動画 – 映画.com

評価点

  • 「水墨画」の魅力の伝え方、こだわりの感じる演出
  • ストーリー構成
  • キャスト陣の演技力の高さ

「水墨画」の魅力の伝え方、こだわりの感じる演出

「線は、僕を描く」で何がもっとも素晴らしかったか、一つ挙げるとするなら「水墨画」の魅力を作品を通して感じ取れる点です。

本作は、邦画の実写作品の中では数少ない成功の部類に含まれる映画『ちはやふる』のスタッフが手掛けています。

映画『ちはやふる』では競技カルタ、本作では「水墨画」と知識を持っている層が比較的少ないジャンルをテーマとしています。

どちらも広く認知されていないテーマを取り扱うといった共通点がありますが、知識のない人から知識のある人まで面白いと思わせる作りとなっているのは流石だと感じました。

脚本を通してだけでなく、エンドロールにも「水墨画」の魅力が感じられる要素が含まれています。これは映画を観て実際に感じていただきたい要素の一つです。

駄作にありがちな例として、メインテーマがおまけになっている作品があると思います。「それってこのテーマの必要ある?」って疑問に思った作品とかありませんか。本作はそういった作品とは真逆の作品です。

ここまで「水墨画」の魅力を感じることができるのは、制作陣「水墨画」の魅力を視聴者に伝えたい、作品を通して少しでも多くの人に「水墨画」を好きになってもらいたいと原作愛を持って制作をしているからだと思います。

ストーリー構成

主人公は、「水墨画」に対して無知であるところから絵画展設営現場で白と黒だけで表現された「水墨画」に魅了され、「水墨画」を学んでいきます。つまり視聴者と同じ目線で物語が始まります。

本作を鑑賞する人の大半は「水墨画」の知識がない人の方がほとんどだと思います。登場人物に感情移入するためには「共感」が絶対に必要になります。

では「共感」を生むためにはどのような工夫をするべきか、それは登場人物と出発地点を同じにすることだと思います。

知識のない主人公が「水墨画」を知るところから、段々と「水墨画」に魅了されていく流れは本作を鑑賞する視聴者とリンクすることになります。これは原作が素晴らしいというのはもちろんですが映画に落とし込む制作者の手腕でもあると思います。

「水墨画」に出会い、主人公がどのように成長していくのか。物語を通しての流れは非常に完成度が高いと感じました。

キャスト陣の演技力の高さ

演技力のあるキャストの中に、演技の下手なキャストがいると、気になってしまうことあると思います。本作では、いわゆるノイズとなるキャストは一人もいません。

メインキャストである横浜流星清原果耶は当然として江口洋介河合優実など脇を固めるキャスト陣の演技も非常に素晴らしかったです。

映画『ちはやふる』で唯一僕が気になった点がコスプレ感を若干かんじてしまったところでした。全体としては良い作品でしたがそこだけが難点でした。

しかし本作では、原作を無理なく邦画に落とし込んでいるため、不自然さがなくて自然でした。現在では、アマゾンプライムやネットフリックスで鑑賞することができます。是非一度鑑賞することをオススメします。

総評

映画全体から「水墨画」の魅力がこれでもかと詰め込まれた作品。

本作で初めて「水墨画」を知ったといった人にも理解できるように作られていること、また「水墨画」ならではのエンドロールの演出、キャスト陣の演技の素晴らしさ、様々な要素が高水準でまとまっている作品だと思います。

主人公と一緒に「水墨画」に魅了でき、伝えたいことが明確なため見終わった後に「水墨画」についてもっと知りたいなと思わせてくれるそんな作品でした。

興行収入からつまらないと決めつけてしまって、これ程までに面白い作品を敬遠してしまうのは非常にもったいないです。サブスクなどでも見る手段はあるため、是非見てもらいたい映画です。

素晴らしい作品は、作品の力でテーマの魅力を伝えることが出来る作品

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