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”救いがない結末。コロナ禍により最後の希望も断たれる少女の人生!映画『あんのこと』レビュー”

レッド

映画『あんのこと』レビュー

この映画は主演の河合優実が第48回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞をしたことでも話題となった映画です。

2020年6月に新聞に掲載された少女の壮絶な人生に着想を得て制作された、実話をもととした作品となっています。実話の結末とは異なるところはありますが映画から救少女の辛すぎる人生がしっかりと伝わってくるのは素晴らしいと思います。

「実話」と「創作」のバランスのとれた印象で、実話との違いは希望の部分だと思います。本作では、介護福祉士になるという夢を追いかけ、前向きに未来を切り開いていく姿が描かれます。

実話では、夢を抱きながらもコロナによって夢を打ち砕かれて自殺していしまう救われない最後となってしまいます。

それでは、映画あんのことのレビューをさせていただきます。

ストーリーの核心についてのネタバレはしていませんが、序盤のストーリーの設定をにふれているため一応ネタバレ注意でお願いします。

作品紹介・あらすじ

引用:映画『あんのこと』予告篇 6月7日(金)公開

あらすじ・解説

「SR サイタマノラッパー」「AI崩壊」の入江悠が監督・脚本を手がけ、ある少女の人生をつづった2020年6月の新聞記事に着想を得て撮りあげた人間ドラマ。

売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売った。人情味あふれる刑事・多々羅との出会いをきっかけに更生の道を歩み出した杏は、多々羅や彼の友人であるジャーナリスト・桐野の助けを借りながら、新たな仕事や住まいを探し始める。しかし突然のコロナ禍によって3人はすれ違い、それぞれが孤独と不安に直面していく。

「少女は卒業しない」の河合優実が杏役で主演を務め、第48回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞。杏を救おうとする型破りな刑事・多々羅を佐藤二朗、正義感と友情に揺れるジャーナリスト・桐野を稲垣吾郎が演じた。

2024年製作/113分/PG12/日本
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2024年6月7日

引用:あんのこと : 作品情報・キャスト・あらすじ – 映画.com

感想

実話」と「創作」のバランスが素晴らしい。アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞した河合優実の演技が光る

この映画で忘れてはいけないのが、現実で起きてしまった少女の人生であるということ。

もちろん実話をそのまま映画化した訳ではありませんが、私たちが当然のように生きている一方で、このような壮絶な人生を送っている人がいるということ。

どうすれば少女を救うことができたのか考えさせられると同時に今の自分の置かれている環境がいかに恵まれているのか認識することのできる映画でした。

本作の主人公である香川杏は幼少期から母親から虐待を受けており、まともな教育を受けることも出来ない。身体を売りお金を作らされるといった地獄のような人生を送っています。

その救いのない現実から手を差し伸べてくれたのが、佐藤二朗演じる多々羅ですが、その地獄から抜け出せると思ったが矢先コロナ禍により再び絶望に叩き落されてしまう。

自分の本当にやりたかったことが出来なくなってしまう、自分の信頼している人を頼ることができなくなってしまう。

今まで人間関係の上で成り立っていた仕事をしていた人は、感染予防のため人とコミュニケーションをとることが出来なくなってしまう。つまり仕事を失ってしまう。

本作の主人公だけでなくコロナによって同じように、絶望の現実に引きずり込まれてしまった人は大勢いたと思うと胸が痛くなる。彼女を救うことは出来なかったのだろうかと考えるには十分なクオリティの映画だったと感じました。

映画は「実話に基づいた」作品でありながら、実話のの悲惨な結末をそのまま描くのではなく、作品に込める「絶対にこんなことを起こさせてはいけない」という思いや、「この腹を抉られるような事実をなんとしても人々に伝えたい」というメッセージを伝えるために、希望を感じさせる創作の結末に至っているところもこの映画の素晴らしいところだと思います。

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