映画評価

”2025年最も評価されるべきアニメ映画、『野生の島のロズ』”

レッド

映画『野生の島のロズ』レビュー

子供向けでありながら大人も感動できる。家族で楽しめる作品としては、ディズニー映画が不動の地位にありましたが、今ではブランド価値を下げてしまったディズニー本家とピクサースタジオ。

その中ドリームワークスは勢いがあり、以前レビューをした『長ぐつをはいたネコと9つの命』や本作『野生の島のロズ』と興行収入としては国内では3億円を少し超えた程度に留まってしまいましたが、もっと評価されるべき作品ですし、もっと売れるべき作品であると感じました。

子供から大人まで全ての幅広い年代の人にオススメできるし、騙されたと思って一度は観ていただきたい映画です。既に上映は終了してしまっており、アマプラやネットフリックスなどのサブスクやDVDやブルーレイでの鑑賞のみになってしまっています。環境が整い次第すぐにでも観てほしい作品です。

それでは、映画『野生の島のロズ)』のレビューをさせていただきます。

ストーリーのネタバレは基本していませんが、少しストーリーにふれた感想を書いているためその点は注意してください。

作品紹介・あらすじ

引用:映画『野生の島のロズ』予告編②ロングバージョン

あらすじ・キャスト

アメリカの作家ピーター・ブラウンによる児童文学「野生のロボット」シリーズを原作に、野生の島で起動した最新型ロボットが愛情の芽生えをきっかけに運命の冒険へと導かれていく姿を描いた、ドリームワークス・アニメーションによる長編アニメ映画。

大自然に覆われた無人島に流れ着き、偶然にも起動ボタンを押されて目を覚ました最新型アシストロボットのロズ。都市生活に合わせてプログラミングされ、依頼主からの仕事をこなすことが第一の彼女は、なすすべのない野生の島をさまよう中で、動物たちの行動や言葉を学習し、次第に島に順応していく。そんなある日、雁の卵を見つけて孵化させたロズは、ひな鳥から「ママ」と呼ばれたことで、思いもよらなかった変化の兆しが現れる。ひな鳥に「キラリ」と名付けたロズは、キツネのチャッカリやオポッサムのピンクシッポら島の動物たちにサポートしてもらいながら子育てという“仕事”をやり遂げようとするが……。

監督は「リロ&スティッチ」「ヒックとドラゴン」のクリス・サンダース。「ブラックパンサー」シリーズのルピタ・ニョンゴが主人公のロボット・ロズの声優を務め、ペドロ・パスカル、キャサリン・オハラ、ビル・ナイ、キット・コナー、ステファニー・スーが声の出演。日本語吹き替え版はロズ役を綾瀬はるかが担当し、柄本佑、鈴木福、いとうまい子らも吹き替え声優として参加した。アニメ界のアカデミー賞と言われる第52回アニー賞では長編作品賞、監督賞など同年度最多の9部門を受賞。第97回アカデミー賞では長編アニメーション賞のほか、作曲賞、音響賞の3部門にノミネートされた。

2024年製作/102分/G/アメリカ
原題または英題:The Wild Robot
配給:東宝東和、ギャガ
劇場公開日:2025年2月7日

野生の島のロズ : 作品情報・キャスト・あらすじ・動画 – 映画.com

日本語吹き替え

・ロズ(綾瀬はるか)、チャッカリ(柄本佑)、キラリ(鈴木福)、クビナガ(千葉繁)、ヴォントラ(種﨑敦美)


感想

王道でありながら感動させるストーリー

アシストロボットのロズが、無人島の動物たちとの交流を経て、プログラムには存在しない、ロボットの枠組みを越えた感情を学習していく。あらすじを端的に並べると、ロボットが無人島の生き物と共に生きる中で心を学んでいく展開は良く言えば王道、悪く言えばありきたりで斬新さはない。

人に奉仕するためにプログラムされたロズが野生動物達にも同じように奉仕しようとするも野生動物達に嫌悪感を抱かれ拒絶されてしまう。それでも現実と向き合い無人島で野生動物達と共存いくため理解していこうとするロズには心を打たれるものがあった。

人間関係においても、良好な関係を築くためには他者を理解しようとするところから始まる。一方的な親切な押し付けは、親切ではなくお節介になる。本作では説教臭くするのではなくコミカルに描くことで子供でも自然と感じ取れる工夫がされているように感じる。

また他者に寄り添い理解しようとする中で野生動物達の仕草や行動を学習していく、そしてその学習したことや、無人島で野生動物達と過ごした経験が後半のクライマックスで遺憾なく発揮される。

ロズのこれまでの行動が野生動物達の心を動かし、種族を越えて立ち向かうクライマックスは素晴らしいの一言。

この映画には、現実を生きている我々にも言えるメッセージが多くあるように感じた。現在、各国で戦争が行われている。野生の島であるところの縄張り争い。これは自分達の正義の押し付けからで、相手に寄り添う考えをお互い欠いてしまっている。お互いが正義を押し付けあっていれば争いはなくならない。

しかし現実問題、国同士が異なる人種同士が争っている状況ではなく、お互い手を取り合い協力しなくてはならない状況である。本作『野生の島のロズ』のように他者の気持ちに寄り添い現実を乗り越えて行かなければならないのである。

この映画にはストーリーの完成度が高いだけでなく、作品を通じて伝わるメッセージが胸に突き刺さる。それはストーリー構成の素晴らしさ、キャラクターの魅力、メッセージ性と全てにおいて高評価の作品であると自信をもってオススメできる傑作です。


ロズとキラリの絆

アシストロボットである、ロズは野生動物との共存だけでなく渡り鳥の子供であるキラリの親となります。渡り鳥の子どもを育てていく中で、ロズはプログラムには存在しない大切な何かを見つける。

この話の運びが疑似親子の物語として、非常に完成度が高い。一般的な物語であればキラリが独り立ちしロズのもとから飛び立っていく結末になると思いますが、この映画でのクライマックスは親離れではありません。

しっかりとキラリの成長が描かれ、成長したキラリが大活躍します。キラリを育てる中でロズは他者に寄り添うことの大切さに気付いていきます。この作品で伝えたいこと、それはキラリを育てていく上でロズが少しずつ学んだもの。

ロズの成長はもちろんですが、本作ではキラリの成長とキラリの親となることでプログラムを越えた大切なものを学習していきます。また、臆病なキラリもロズのためにできることを勇気を振り絞りクライマックスを盛り上げてくれます。

本作で伝えたいメッセージは、ロズがキラリを通じて知ったことである。言わばロズとキラリの絆がこの映画における根幹であると感じました。

クライマックスの展開は、一見の価値ありです。興行収入的に見れば成功とは言えません、大コケしたと思われても仕方のない結果ですが、間違いなく今年度最も評価されるべきアニメ作品だと自信をもって言えます。


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