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”𠮷田恵輔監督の日本アカデミー賞ノミネート作品。2024年の映画の中で最も重い実話のような映画『ミッシング』”

レッド

映画『ミッシング』レビュー

映画『空白』の𠮷田恵輔監督ということと主演の石原さとみが、ほぼノーメイクのスッピン姿で撮影に臨んでいることで、本気度が伝わり公開前から期待していた作品でした。

実際に公開され鑑賞した感想としては、𠮷田恵輔監督らしい重く、辛い救いがないストーリーでありながら、伝えたい事を敢えて見る人に考えさせる作風が良い意味で記憶に焼き付けられました。

無理やりにハッピーエンドにもっていくストーリー構成ではないため、見終わった後の満足度が高くなりにくい映画であることは理解できます。

そのため口コミで、「意味不明」や「意味がわからない」など否定的な感想も目に付きましたが、見る人によってつまらないといった感想になるのも理解は出来ます。

しかし、私は辛すぎるシナリオでありながら心理描写を丁寧に描き、日本アカデミー賞にノミネートさせた𠮷田恵輔監督の手腕に思わず感動させられました。

それでは、映画『ミッシング (2024年の映画)』のレビューをさせていただきます。

ストーリーのネタバレは基本していませんが、少しストーリーにふれた感想を書いているためその点は注意してください。

作品紹介・あらすじ

引用:映画『ミッシング』本予告 2024年5月17日(金)公開

あらすじ・解説

「空白」「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督が、石原さとみを主演に迎えてオリジナル脚本で撮りあげたヒューマンドラマ。幼女失踪事件を軸に、失ってしまった大切なものを取り戻していく人々の姿をリアルかつ繊細に描き出す。

沙織里の娘・美羽が突然いなくなった。懸命な捜索も虚しく3カ月が過ぎ、沙織里は世間の関心が薄れていくことに焦りを感じていた。夫の豊とは事件に対する温度差からケンカが絶えず、唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々。そんな中、沙織里が娘の失踪時にアイドルのライブに行っていたことが知られ、ネット上で育児放棄だと誹謗中傷の標的になってしまう。世間の好奇の目にさらされ続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じるように。一方、砂田は視聴率獲得を狙う局上層部の意向により、沙織里や彼女の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材を命じられてしまう。

愛する娘の失踪により徐々に心を失くしていく沙織里を石原が体当たりで熱演し、記者・砂田を中村倫也、沙織里の夫・豊を青木崇高、沙織里の弟・圭吾を森優作が演じる。

2024年製作/119分/G/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2024年5月17日

  • 森下沙織里 石原さとみ
  • 森下豊 青木崇高
  • 土居圭吾 森優作

ミッシング : 作品情報・キャスト・あらすじ・動画 – 映画.com

感想

圧倒的な心理描写、登場人物達への共感性

映画『ミッシング』を評価している一番の理由ですが登場人物達の心理描写が丁寧で全ての登場人物達の気持ちに寄り添うことが出来たからだと思います。

ある日突然自分の娘が行方不明になり、テレビでの報道やビラ配りなどあらゆる手段を施しても娘の美羽が見つからない現実から焦りと怒りから他者にまで当たってしまう森下沙織里。さらにSNSで心無いコメントを書かれメンタルが徐々に崩壊していく。

同じ状況でありながら、妻の沙織里が徐々に壊れていく様子を近くで見続け、娘が見つかるためなら手段を選ばない沙織里に越えてはならない一線を越えさせまいとする森下豊

美羽が失踪する直前まで一緒にいたことから誘拐犯の疑いをかけられ、沙織里にも怒りの矛先を向けられ徐々に人生が崩壊していく圭吾

森下夫婦の子供が見つかることを最優先と考えそのためにテレビを活用するも、やはり時間が経てば徐々に視聴者の関心は薄れていき視聴率の低迷を招いてしまう。視聴率を取ることを優先するか、森下夫婦の娘を見つける方を優先するかで気持ちの揺れる砂田

登場人物達にしっかり心が宿っており、キャスト全員の演技力の高さも相まって、キャラクター全員の気持ちを理解することが出来ます。

役者全員の演技力が高いのは間違いありませんが本作のMVPは土居圭吾を演じた森優作だと思います。

挙動不審な言動や報道の仕方などから犯人と決めつけられ、SNSやテレビの報道によって簡単に人の人生が狂わされてしまうのだと圭吾を通して改めてSNSの闇を思い知らされる。

彼が完璧に圭吾を演じたからこそSNSの怖さと報道の怖さをより如実に映画に落とし込めていると思います。

感想

救いがない重い辛すぎる脚本は万人にオススメできる映画ではありません。また無理やりハッピーエンドにする脚本ではなく、結末の意味や犯人など視聴者に考察させる要素を残しているのも万人向けというよりも、映画好き向けの作品といった感想です。

中には、「結局どういうこと」「意味がわからない」「つまらない」といった否定的な意見が出てしまうのも理解できますが、それは良くも悪くもドラマ性がなく、まるで実話のような作風だからだと思います。

現実も救いがないことが大半で、私は映画は娯楽だからといって必ずしもドラマ性を持たせ面白味がなくてはいけないとは思いません。

この映画のようないつ自分にも起こりえるかもしれないテーマの場合、𠮷田恵輔監督の重く実話のように救いがない作風は非常にマッチしていると思います。

現在は、アマゾンプライムなどのサブスクなどでも視聴可能なため一度鑑賞してみることをオススメします。非常に素晴らしい作品です。

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