映画『雨を告げる漂流団地』　レビュー

作品紹介

あらすじ

まるで姉弟のように育った幼なじみの航祐と夏芽。
小学６年生になった二人は、航祐の祖父・安次の他界をきっかけにギクシャクしはじめた。
夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに
取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。
その団地は、航祐と夏芽が育った思い出の家。
航祐はそこで思いがけず夏芽と遭遇し、謎の少年・のっぽの存在について聞かされる。
すると、突然不思議な現象に巻き込まれ――
気づくとそこは、あたり一面の大海原。
航祐たちを乗せ、団地は謎の海を漂流する。
はじめてのサバイバル生活。力を合わせる子どもたち。

泣いたりケンカしたり、仲直りしたり？
果たして元の世界へ戻れるのか？
ひと夏の別れの旅がはじまる―

映画「雨を告げる漂流団地」公式サイト (hyoryu-danchi.com)

不満点

• 「泣いてケンカして、仲直り」本当にこの繰り返し
• 話のテンポが最悪
• 魅力的なキャラクター不在

作品紹介の通り「泣いてケンカして、仲直り」本当にこの繰り返し

公式サイトのストーリー紹介にもあるように「泣いてケンカして、仲直り」シナリオの展開が本当にこの繰り返し。

ケンカから仲直りを繰り返してお互いが前に進んでいるのであれば、このような展開も楽しめるのでしょうが、本作ではただのくだらないケンカを延々と観せられることとなり作品を観ている最中自分は何を観せられているのかと思うほど、中身のない展開でした。

キャラクター同士の衝突というのは、物語上必要な要素だと思います。「雨降って地固まる」という言葉もあるようにキャラクター同士の絆を描く上では外せない要素であることは間違いありません。

ただそれは、お互いの感情を視聴者が理解できて初めて意味のあるもの。キャラクターの気持ちに感情移入できない不快感だけが残るケンカは観ていても何も感じませんし作品としての面白さを何も生み出しません。

話のテンポが最悪

前述したようにワンパターンの中身のない展開が繰り返されるだけでなく、様々なシーンが間延びしており話のテンポが非常に悪いです。

映画での上映時間を完全に持て余しており、伝えたいことや描きたいことがあって上映時間が延びたというよりも、上映時間を確保するために無理やり話しを間延びさせているというのが話のテンポを著しく悪くさせている要因だと思います。

ストーリー自体も大してクオリティが高いわけではなく、メッセージ性もないに等しい。それを場面や展開を変えてはいるが基本的にはやっていることは同じでただの水増しです。

上映時間２時間ともなるとアニメ映画では長尺の部類に入ります。２時間の上映時間の中物語に没入できず退屈な物語を延々と観せられるというのはちょっとした拷問です。

伝えたいことが特にないのであれば尺を削り、話をコンパクトにまとめた方が良かったのではないかと思います。

魅力的なキャラクター不在

引用　映画「雨を告げる漂流団地」公式サイト (hyoryu-danchi.com)

キャラクターに至ってはヒロインの兎内夏芽というキャラクターが非常にヘイトが向けられるキャラクターで、役に立たない、自分勝手、全く共感できないと三拍子揃っています。本作で最も評価を落とす要因となっているのが、このキャラクターの存在でしょう。

このキャラクターがいることでケンカが起きたり、子供の割に自己犠牲の感情がやたら目立ったり、キャラクターとして全く統一感がなく観てる人のほとんどがナツメというキャラクターに感情移入できないと思います。

引用　映画「雨を告げる漂流団地」公式サイト (hyoryu-danchi.com)

また、ナツメ以外のキャラクターも魅力が全くなく、発言から存在まで全てが謎の「のっぽ」

引用　映画「雨を告げる漂流団地」公式サイト (hyoryu-danchi.com)

口が悪く性格がキツイ「羽馬令依菜」

思春期の子供を表現する方法が、ケンカが絶えないという部分のみというのは本当に芸がないと思います。子供は確かに純粋で大人よりも感情に従って素直に生きているところがあります。そのためケンカが絶えなかったり、すぐに手が出てしまうのも感情のコントロールが大人よりも得意ではないからです。

しかし決して子供が短期というわけではありません。脚本家の頭の中では子供はいつもケンカしてるような存在っていう認識でケンカして仲直りを繰り返させとけば子供らしさを表現できるだろうと考えているのかもしれませんが…

総評

キャラクター、ストーリーが致命的に悪くスタジオコロリドの映像が素晴らしいだけに非常に勿体ない作品となってしまっています。

公開前は「ペンギン・ハイウェイ」の監督作品ということもあって非常に期待値が高かっただけに本当にガッカリさせられました。

ストーリーが「泣いてケンカして、仲直り」の繰り返しでワンパターン、話のテンポが悪く物語が中々進まずイライラ、そして何より魅力的なキャラクターが一人もいないのは致命的でした。

魅力的なキャラクターがいれば、物語のひどさも多少は見過ごせたもののそれも出来ない。本当に救いようのない作品です。工夫すればいくらでも面白くできた作品であったにも関わらず、ただ退屈でオチも無理やり終わらせただけの作品になってしまったのは本当に残念です。

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