映画『search/サーチ』レビュー
唯一無二の傑作
2023年4月14日に本作の続編であるsearch2が公開となり話題となっています。
それも前作である映画『search/サーチ』は上映時間の大半がパソコンの画面での展開で、初めてこの情報を知ったときは正気かよって思ったのを覚えています。
実際に作品を観てみると、鑑賞前の不安を一瞬で吹き飛ばす魅力をもった映画となっています。
では、そんな唯一無二の傑作『search/サーチ』のレビューをしていきたいと思います
作品情報
物語がすべてパソコンの画面上を捉えた映像で進行していくサスペンススリラー。
16歳の女子高生マーゴットが突然姿を消し、行方不明事件として捜査が開始されるが、家出なのか誘拐なのかが判明しないまま37時間が経過する。
娘の無事を信じたい父親のデビッドは、マーゴットのPCにログインして、Instagram、Facebook、Twitterといった娘が登録しているSNSにアクセスを試みる。
だがそこには、いつも明るくて活発だったはずの娘とは別人の、デビッドの知らないマーゴットの姿が映し出されていた。
search サーチ : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)
評価点
- 映画の新たな可能性を見出した映像表現
- 伏線が巧みに回収されるストーリー展開
- 現代社会における「SNS」の存在を上手く表現されている
映画の新たな可能性を見出した映像表現
本作は物語が他作品では例のない上映時間のほぼ全てがパソコンの画面上で繰り広げていきます。僕も最初この情報を知ったときは”正気かよ”って思ったのを覚えています。これは私だけでなく本作品を鑑賞するほぼ全ての人が感じる感想だと思います。
しかし物語のクオリティが非常に高い。起承転結がしっかりしており、物語に張り巡らされた伏線、後半に回収していくストーリー展開にはパソコンの画面から全く動かない映像なのにも関わらず最後まで目が離せません。
人物描写が丁寧にされているため、キャラクターに感情移入することができるため行方不明の娘を”何とか見つけたい”、”無事でいてほしい”という父親と同じ気持ちで物語に没入することができます。
父親と一緒にSNSを活用してどのように行方不明の娘を見つけ出すのか、「娘と父親の家族愛」物語の感動のフィナーレも是非実際鑑賞して、本作独自の映像体験を堪能してもらいたいです。
伏線が巧みに回収されるストーリー展開
パソコンの画面上だけで展開するということは、「パソコンの画面外」での状況が分からないということ。インターネットだけでは現実世界のリアルな人々、リアルな現況を把握することはできません。
このパソコンの画面上だけでのストーリー展開を逆手にとった展開は解説してしまうとネタバレになってしまいますので伏せておきますが、前半で張り巡らされた伏線、これは映像表現の中にも含ませているのは見事としか言いようがありません。
日本でも「カメラを止めるな」と言った低予算で作られているにも関わらず斬新なストーリー展開で評価を上げた作品がありましたが、あちらも物語の伏線だけでなく映画の映像表現の中にも複数の伏線を張っていました。
本作での、他作品とは一風変わった伏線の回収の手法は見どころです。
現代社会における「SNS」の存在を上手く表現されている
本作の父親はこれまでSNSを全く知らない初心者。しかし娘を探すためにはSNSの力を頼らずにはならない状況。SNSには圧倒的な情報量とリアルでは決して実現できない大勢の人達とのコミュニケーションを実現することができます。
しかしその反面、本作ではリアルで見てきた娘と、SNS上での娘とのギャップ、自分の知らない娘の存在を知る父親として表現されていますが、リアルとインターネットで大きく人格の変わってしまう人も少なからず見受けられます。
総評
上映時間のほぼ全てがパソコンの画面上で繰り広げていく斬新な映像表現。
物語だけでなく、映像表現の中にも伏線を張り巡らせそれを回収していくストーリー展開は圧巻としか言いようがありません。
これから鑑賞される方は予備知識を全く入れずに本作を見てほしいと思います。
現実世界におけるSNSという存在の描き方、エンターテイメント性においても唯一無二の傑作だと自信をもって言えます。