映画『金の国 水の国』レビュー
”マンガ大賞に恥じない名作”
声優はナランバヤル役に賀来賢人、サーラ役に浜辺美波と声優ではなく人気俳優と人気女優が務めるということで見る前は不安でした。
岩本ナオの2017年「このマンガがすごい!」で第1位を獲得した作品を話題性のためだけに利用され面白い作品を面白くない残念な作品にされてしまうのではないかと………
つまらない作品にならないことだけを祈って鑑賞しましたが、良い方向に裏切られる形となりました。
ネタバレは多少ありますので一応ネタバレ注意とさせていただきます。
それでは映画『金の国 水の国』のレビューをしていきたいと思います。
作品紹介・あらすじ
作品紹介
2017年「このマンガがすごい!」で第1位を獲得した岩本ナオの同名コミックをアニメーション映画化。
商業国家で水以外は何でも手に入る金の国と、豊かな水と緑に恵まれているが貧しい水の国は、隣国同士だが長年にわたりいがみ合ってきた。金の国のおっとり王女サーラと、水の国で暮らすお調子者の建築士ナランバヤルは、両国の思惑に巻き込まれて結婚し、偽りの夫婦を演じることに。自分でも気づかぬうちに恋に落ちた2人は、互いへの思いを胸に秘めながらも真実を言い出せない。そんな彼らの優しい嘘は、やがて両国の未来を変えていく。
俳優の賀来賢人がナランバヤル、浜辺美波がサーラの声を担当。「サマーウォーズ」のマッドハウスがアニメーション制作を手がけ、テレビドラマ「コウノドリ」の坪田文が脚本、人気アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」やNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のエバン・コールが音楽を担当。2023年製作/上映時間117分/G/日本
金の国 水の国 : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2023年1月27日
感想
本作の評価の結論を先に言いますと、非常に完成度の高い作品といった感想です。賀来賢人と浜辺美波がサーラとナランバヤルを演じるということで、主役二人の声を俳優と女優が演じるということで、声優の観点から不安に思っていたところも映画を観ている最中は特に気になりませんでした。
それ以上に、非常に良く練られたストーリー構成とEvan Callの感情を動かされる壮大な音楽、マッドハウスの気合のこもった作画とアニメーションは評価しなくてはならないポイントです。
ストーリーは、万人にオススメできる内容となっており商業国家で経済が発展しており裕福な国である金の国と貧困ではあるが水や緑に囲まれた資源が豊富な国である水の国のお話。
裕福な環境で育った王女と貧困で厳しい環境で育ってきた一般人の恋愛物語というのは斬新さには欠ける物語ではありますが、お互いが惹かれあうのも納得な魅力的なキャラクターとなっていて、金の国のサーラと水の国のナランバヤルどちらの恋路も応援したくなります。
両国は度々紛争をしており関係性は最悪、お互い他国のことを面白くないと思っており敵国に挑発するようなことをしています。
その中で金の国と水の国の国交を開かせようと奮闘するナランバヤル、金の国では資源以外のところでは不自由のない暮らしをしていますが、水や緑などの自然の力による資源を欠いた状況では長く不自由のない裕福な暮らしを保ち続けるのは限界が来てしまいます。
つまり両国はお互いが支えあうことができれば、資産も資源も手に入れ今よりも豊かな暮らしができるようになり、そこに生きる人たちの幸せも末永く続くことができます。しかし、一度国同士悪化した関係を修復するのは難しく、簡単なことではありません。
サーラとナランバヤルは両国の置かれている現状を知ることで故郷が今と未来がより良くなる道を示し導いていこうとしていくのですが、原作が「このマンガがすごい」に選ばれるだけありマンガ大賞を受賞するだけの非常に説得力のあるストーリー構成となっています。
脚本家も原作の面白い部分やメインキャラクターだけでなくライララなどのサブキャラクターの魅力も引き出しており、それを『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』で素晴らしい音楽を聞かせてくれたエバン・コールがシーン一つ一つを盛り上げてくれていて、上映時間2時間が本当に幸せの時間となりました。
現在では公開日からも日が経ってしまい上映されている映画館は当然ありませんが、dvdやブルーレイなどをレンタルしたり購入したり、amazonプライムやネットフリックスなどのサブスクでも見ることができるので、絶対に観てもらいたい名作です。