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映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』レビュー

レッド

「岸辺露伴は動かない」の劇場版としては大成功

本作は週刊少年ジャンプで連載してた「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ作品『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の実写映画化となっています。

監督は「岸辺露伴は動かない」の演出を手掛けた渡辺一貴。

主演は高橋一生、飯豊まりえ、安藤政、美波、木村文乃などとなっています。

「岸辺露伴は動かない」は実写化した作品の中では十分なクオリティの作品となっていたため期待半分、不安半分といった感じでした。

では実際鑑賞してどのような作品だったのかレビューしていきたいと思います。

作品紹介・あらすじ

(10) 映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』本予告 【5月26日(金)公開】 – YouTube

荒木飛呂彦の大人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ作品で、高橋一生の主演でテレビドラマ化されて2020年にNHKで放送された「岸辺露伴は動かない」の劇場版。

相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力「ヘブンズ・ドアー」を備えた漫画家・岸辺露伴。青年時代、露伴は淡い思いを抱いていた女性から、この世で最も邪悪な「最も黒い絵」の噂を聞いた。それから時がたち、その絵がフランスのルーブル美術館に所蔵されていることを知った露伴は新作執筆の取材と、かつてのかすかな慕情のためにフランスを訪れる。しかし、美術館職員に「黒い絵」の存在を知る者はなく、データベースによってヒットしたその保管場所は、今はもう使われていないはずの地下倉庫「Z-13倉庫」だった。

ドラマ版から続投となる露伴役の高橋、担当編集者・泉京香役の飯豊まりえのほか、木村文乃、長尾謙杜、安藤政信、美波らが顔をそろえる。監督・渡辺一貴、脚本・小林靖子、音楽・菊地成孔、人物デザイン監修・柘植伊佐夫と、ドラマ版のスタッフが再結集した。

2023年製作/118分/G/日本
配給:アスミック・エース

岸辺露伴 ルーヴルへ行く : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)

評価点

  • コスプレ感がなく作り込まれた世界観
  • 役者陣が素晴らしい
  • テンポが一部悪い

コスプレ感がなく作り込まれた世界観

「ジョジョの奇妙な冒険」を実写化するにあたって、工夫を凝らさなければ失敗は免れないと思います。

実際「ジョジョの奇妙な冒険」の4部の実写化は、実写化に向かない原作を無理やり漫画に寄せて実写化したことによりコスプレ感全開になってしまって、全く実写化した理由を見出せていませんでした。

しかし本作ではどちらかというとリアル寄りな実写化となっており、キャスティングも相まって非常に世界観が作り込まれています。

またジョジョの代名詞でもあるスタンドをほとんど出さずに表現しているのも素晴らしいと思いました。

4部の実写化では無理やり原作を再現したために、演出の全てがチープで安っぽい作りになっていましたが本作では、実写では表現が難しい要素は無理には再現せずに実写ならではの表現に置き換えています。

キャストが素晴らしい

露伴役の高橋一生そして木村文乃などキャスティングがマッチしており、ルーヴルの風景に自然と溶け込んでおり、実写化の難しい「ジョジョの奇妙な冒険」の実写化としては充分なクオリティだと思います。

演技にしても原作のキャラクターを実写として、しっかりと再現されており役者陣は本当に素晴らしかったと思います。

テンポが一部悪い

原作では露伴の過去から始まり現代になり、ルーブルへと時系列が進んだのに対して本作では露伴の過去を回想という形で中盤に長い尺で描かれています。

この点が映画としてのテンポを悪くしてしまっている原因だと感じました。また原作では単行本1冊のお話を無理やり2時間という尺に引き延ばしてしまったのも要因の一つだと思います。

改変は悪いということはありません。映画にするにあたってある程度の上映時間にしなければならないのも理解は出来ますが、やはり無理やり感は拭えないといった感想です。

総評

本作は、過去に「ジョジョの奇妙な冒険」の4部の実写化での駄目だった要素が改善されて実写化として意味のある作品になっていると感じました。無理やり原作の表現を実写でするのではなく、実写ならではの表現に落とし込んできたのは素直に素晴らしいと思います。

またキャストの演技や雰囲気作りにおいても、本作が実写化成功と言わしめる理由の一つであると感じました。

しかし中盤に差し込まれる長尺の回想シーンでテンポを阻害し、上映時間を確保するためのオリジナル要素がストーリーを中だるみさせていまっているのは非常に勿体ないと思います。

しかし、実写化として非常に考えられて制作されているのは伝わってきますし、実写化ということで不安視している人には安心して観ることのできる映画であることは断言できます。

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