映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』レビュー
”ブラッククローバーファンのみ必見”
原作者・田畠裕基が総監修、studioぴえろがアニメーション制作を担当、サブスクで視聴可能ということもあり視聴しました。
原作は読んでストーリーやキャラクターは一通り理解していますが、「ブラッククローバー」という作品に特に思い入れがない人のレビューだと思ってください。
結論から言いますと「ブラッククローバー」の原作が好きな人にはオススメの作品で、「ブラッククローバー」の内容は知っているけど特別好きな作品ではないという人にはオススメできる映画ではないと思います。
ネタバレは多少ありますので一応ネタバレ注意となっています。
それでは映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』レビューをしていきたいと思います。
作品紹介・あらすじ
集英社「週刊少年ジャンプ」連載の人気コミックをアニメ化した「ブラッククローバー」の劇場版。原作者・田畠裕基が総監修を手がけ、原作では明かされなかった「魔法帝」のエピソードをオリジナルストーリーで描く。
魔法が全ての世界で、魔力を持たずに生まれた少年アスタ。クローバー王国における魔道士の頂点「魔法帝」を目指して努力を続ける彼は、ライバルのユノと共に数々の強敵たちと戦ってきた。ある日、封印されていた先代魔法帝コンラートと3人の歴代魔法帝が「帝剣」と共に復活し、クローバー王国の破壊に乗り出す。最大の危機に陥った王国を守るべく、全魔法騎士団が総力を挙げて立ち向かう。
俳優の飯豊まりえと高橋文哉が映画オリジナルキャラクターの声優として参加。テレビアニメ版に続いてstudioぴえろがアニメーション制作を担当。2023年製作/113分/G/日本
ブラッククローバー 魔法帝の剣 : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)
配給:松竹ODS事業室
感想
本作の全体の感想としては、戦闘シーンのみは評価できるという点でストーリーに関しては評価できる点はほとんどないです。キャラクターの目的も手垢がつき過ぎた感じで、本作の悪役も今の世界を一度なくして再生するといったどこかで見たようなキャラクターの思想です。
戦闘シーンの作画のクオリティは確かに高いのですが、戦闘中に深みのないセリフの掛け合いがありテンポは非常に悪くなってしまっています。
セリフ一つ一つが興味深い内容であれば面白いと感じられたのだと思いますが、「差別」や「偏見」など重いテーマを扱っている割には、それに対する本作ならではの回答は全くないのは残念です。
アスタ達の主張は「俺たちがそんな世の中を変える」だったり、具体性がないセリフが多く心に響くものがありません。選挙などで例えると分かると思いますが、「私たちが世の中を良くしていこうと思います」などと言われても聞きたいのは、どのような政策をして改善していくのかといった具体案ですよね。それを一切話さずに、その人を支持したりはしないと思います。
この作品のキャラクターは具体案を主張しないで意気込みだけを言っている人と同じなのでアスタたちの言葉から学べることもなければ心を動かされることもないのだと思いました。
少年漫画なので少々厳しめの意見になってしまったかもしれませんが、それでも少年漫画は心に響く名言や名シーンが数えきれないほど無数にあり、大人も子供も童心に戻って楽しめるものだと思っています。子供だけに向けた映画でない以上、ストーリーは大人の目線で評価させていただきます。
しかし、戦闘シーンの作画自体は映画としてのクオリティは出ているため良ブラッククローバーを映画の迫力のある作画で楽しみたいという人には楽しめると思います。
総評
アニメーション制作がstudioぴえろということもあり、作画のクオリティにおいては一級品となっています。
また原作者・田畠裕基が総監修を手がけていることもあり、原作の「ブラッククローバー」が好きで映画のクオリティでアスタたちの活躍が見たいという人には間違いなく楽しめる作品だと思います。
しかし一本の映画として評価した場合ストーリーに深みがなく、どこかで見た設定や展開で目新しさは全くありませんでした。
戦闘シーンも作画こそクオリティは高いのですが、敵側のぶっ飛んだ主張にたいしてのアスタたちの反論に具体性がなく心に響くセリフや場面は全くありませんでした。そんなセリフが戦闘の中でしつこいくらい挿入されるのでテンポが非常によくなかったといった感想です。
netflixで配信されている映画なので気軽に見ることのできる作品ということで気になっている人は是非一度鑑賞してみてください。