”実際の事件であることが信じられない。気まずいシーンと胸クソ展開に注意!映画『MOTHER マザー』レビュー”

映画『MOTHER マザー』レビュー
この映画で信じられないのがストーリーが実際の事件、川口祖父母殺害事件の話であるということ。つまり、現実に起きてしまった事件であるということ。
母親に祖父母の殺害を命じられた少年の殺人事件で、絵にかいたような毒親で吐き気を催すレベルで胸糞悪い映画でした。
しかし、それは映画がクソというわけではなく、しっかりと少年がどうして祖父母を殺害するに至ってしまったのか、何故そこまで追い詰められてしまったのかを丁寧に描写しているからです。
キャストも主演の長澤まさみは当然ですが、少年役の奥平大兼の演技が素晴らしかったことも実際の起きてしまった事件の悲惨さを際立たせています。気まずいシーンがあるため家族で鑑賞は勧めません。
それでは、映画『MOTHER マザー』のレビューをさせていただきます。
実際の事件がもとになっているストーリーであるため、ネタバレ注意でお願いします。
作品紹介・あらすじ

あらすじ・解説
「日日是好日」「光」の大森立嗣監督が長澤まさみ、阿部サダヲという実力派キャストを迎え、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得て描いたヒューマンドラマ。プロデューサーは、「新聞記者」「宮本から君へ」など現代社会のさまざまなテーマを問いかける作品を立て続けに送り出している河村光庸。男たちと行きずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきたシングルマザーの秋子は、息子の周平に異様に執着し、自分に忠実であることを強いてきた。そんな母からの歪んだ愛に翻弄されながらも、母以外に頼るものがない周平は、秋子の要求になんとか応えようともがく。身内からも絶縁され、社会から孤立した母子の間には絆が生まれ、その絆が、17歳に成長した周平をひとつの殺人事件へと向かわせる。長澤まさみがシングルマザーの秋子、阿部サダヲが内縁の夫を演じる。息子・周平役はオーディションで抜てきされた新人の奥平大兼。第44回日本アカデミー賞で長澤が最優秀主演女優賞を受賞した。
2020年製作/126分/PG12/日本
配給:スターサンズ、KADOKAWA
劇場公開日:2020年7月3日
引用:MOTHER マザー : 作品情報・キャスト・あらすじ・動画 – 映画.com

感想
実際の事件について考えさせられる映画。長澤まさみや奥平大兼の熱演が素晴らしい

この映画はただのフィクション映画ではなく、山寺香著誰もボクを見ていないが原案で川口祖父母殺害事件という実際の事件のストーリーを描いています。
では、本作『MOTHER マザー』がどんな話なのかということですが、絵に書いたような毒親である秋子が実の子供である周平を自分の道具のように利用し時には腹違いの娘の冬華までも巻き込み犯罪に手を染めながらもその場しのぎの人生を送っていく。
いつしか、秋子が周平に求める要求は度を越えたものへとなっていき、やがて最悪な事件を引き起こしてしまう物語。
秋子は子供を育てるための責任も無ければ、基本他責思考であるため絶縁された母親からお金を借りるため周平を利用したり、経済状況も悪い状態でありながら男と体の関係を持ち子供を産んでいく。

秋子を取り巻く人物もクズばかりでその筆頭が阿部サダヲ演じる内縁の夫で、類は友を呼ぶと言う言葉の通り秋子と同じくらいのクズです。
周平はそんな大人達の勝手な都合により自分の意見を主張できない性格が形成されてしまい秋子の都合の良い息子という立ち位置になってしまいます。
この映画を見ていて一番胸クソ悪いのが、周平は秋子が育てたとは思えない程、妹思いで普通の子供と同じように勉強にも関心があり、仕事にも真面目な性格でありながら秋子に人生を滅茶苦茶にされてしまうところにあります。
このストーリーを見て周平のような子供を救うことはできなかったのか、実話なわけですからこの事件を未然に防ぐことは本当に出来なかったのか映画を通して考えさせられました。
そう思えたのも、キャスト陣秋子を演じた長澤まさみ、周平役の奥平大兼の役への向き合い方と熱演が素晴らしかったのが大きいと思います。
面白いとかつまらないとかではなく、一度実際の事件に対して関心を深めるためにも見て損はない映画だと思いました。
日本アカデミー賞でも取り上げられた映画ではありますが、万人にオススメできる作品かと言われれば気まずいシーンや、救いのない脚本であるため、そうではありませんがこの映画から学べることは多いです。
アマプラやネットフリックスなどのサブスクでも見れるため、メンタルが安定している時に見ることをオススメする映画です。
