bad movie

映画『聖闘士星矢 the beginning』 レビュー 

レッド

誰の小宇宙(コスモ)も燃やせない

スーパーマリオの映画と同日に公開された聖闘士星矢 the beginning

話題は完全にスーパーマリオに奪われてしまいましたが、本作も名作であるなら多くの人に知ってもらうべきだと思い鑑賞させていただきました。

結果、聖闘士星矢ファンにも原作を知らない人にもオススメできない新田真剣佑が見れればそれで良いという方にしかオススメできない作品でした。

具体的なレビューを語らせていただきます。

ネタバレありなので注意してください

作品紹介

テレビアニメも世界的人気を博した車田正美原作の名作漫画「聖闘士星矢」をハリウッドのスタッフやキャストが集結して実写映画化し、「パシフィック・リム アップライジング」にも出演した新田真剣佑が主演を務めたバトルアクション。

幼い頃に姉と生き別れた青年・星矢は、現在はスラム街の地下格闘場で戦いながらその日暮らしの生活を送っていた。ある日、戦いの最中に不思議な力を発したことから、彼は謎の集団に狙われる身となる。やがて自身の内に「小宇宙(コスモ)」という力が秘められていること、そしてその力を鍛え、女神アテナの生まれ変わりである女性シエナを守る運命にあることを知った星矢は、その運命を受け入れ、厳しい修行を重ねていくが……。

共演は「ロード・オブ・ザ・リング」のショーン・ビーン、「X-MEN」シリーズのファムケ・ヤンセン、「ジュマンジ」シリーズのマディソン・アイズマン。Netflixドラマ「ウィッチャー」で製作総指揮・演出を手がけたトメック・バギンスキーが監督を務めた。

2023年製作/114分/G/日本
原題:Knights of the Zodiac
配給:東映

聖闘士星矢 The Beginning : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)

不満点

  • 原作者は大切に、原作ファンは無視
  • ターゲットが不明確
  • 吹替が下手、決着のつけ方も最悪

原作者は大切に、原作ファンは無視

一番分かりやすいのが主人公の聖衣のデザインでしょうか。このデザイン実は原作者の意向でこのデザインになっています。理由は聖衣のデザインは古代ギリシャの鎧をベースにしているため必ずしも原作と同じデザインにする必要はないということからです。

しかし、この聖衣のデザインを観た原作ファンには全く受け入れられていないのが現状です。作品は確かに作者のものですが、同時に原作を支えてきたファンのものでもあるのではないでしょうか。

原作者が許していても、原作ファンが受け入れていないのではこのデザインのチョイスは失敗だと思います。またこれは賛否あるとは思いますが、個人的にも全く聖闘士には見えませんでした。

また原作の世界観などは完全に表現できているとはお世辞にも言えず、原作が聖闘士同士の戦いに焦点が当てられてたのに対して本作は暗黒聖闘士軍団との戦闘がメインとなっており聖闘士星矢である必要性にも疑問が出てしまっています。

小宇宙により、失われた腕が生えそろってみたり、小宇宙でそんなことまでできたっけと土台もガタガタでした。

聖衣や小宇宙など原作の設定は取り入れていますが、特に物語後半のシナリオに関しては原作とは完全に別物として観た方が良いと思います。オススメではありませんが。

原作者の声だけでなく、原作ファンの声も取り入れて映画化すべき

ターゲットが不明確

原作とは完全に別物であることから原作ファンにオススメできる作品ではありませんが、本作から聖闘士星矢を観る方にもオススメできません。

地下格闘→シエナとの出会い→修行→シエナ誘拐→決戦というシナリオにはなっていますが、シナリオの描き方が雑で物語を時系列に従って淡々と描いているだけなので、話は分かるがそれで感情が揺さぶられることはありません。

また、原作ファンにとっても原作の展開とは全くの別物であり、オリジナルストーリーにしても完成度が低いため原作への愛が強すぎるほど不満が出てくる作品だと思います。

原作ファンも楽しめなければ、原作を知らない人も楽しめない。

本作は誰が楽しめる作品なのでしょうか。

原作ファンは別物過ぎて不満、原作を知らない人は純粋につまらない

吹替が下手、決着のつけ方が最悪

本作はハリウッドとして制作されたため主人公の吹き替えは新田真剣佑

しかしこのアフレコが絶望的に下手です。

ルックスなどはハリウッドの中でも見劣りしないのは流石ですし、アクションシーンの演技も良かったのですがアフレコに関しては致命的でした。いつも吹き替えで観てる方も新田真剣佑のファンでない限りは字幕版を検討した方が良いと思います。

最後の決着ではシエナの暴走を止めるため星矢は聖衣を失いながら近づきます。最後は星矢の声でシエナの暴走が止まるのですが、シエナと星矢の間の絆が全く描けていないので何のカタルシスもありませんし説得力がありません。

このような展開にするのであれば、そこに至るまでのストーリーが重要です。星矢とシエナとの間に強い絆で結ばれていることが描けていれば観てる人も納得できますし、説得力があります。

本作は表現したいことは分かるけど、上手く描けていない箇所が多いです。どのようなシナリオにするか決めて筋書き通りに話を進めるだけでは映画としての質は上がっていかないと思います。

決着に至るまでのストーリーが大切でそこで評価が決定する。

総評

本作は新田真剣佑のファンか聖闘士星矢とは完全に別物と考えられる人の中でもさらに一部の人しか楽しめない作品だと思いました。

ただ原作の聖衣や小宇宙などの設定を取り入れてるだけで、全く聖闘士星矢ではなく完全に別物でした。また取り入れてはいるものの設定を生かせてないどころか、過大解釈をして原作では描いていないことまで表現してしまうのは、あきらかにやり過ぎです。

では原作を知らない人にオススメできるかと言われれば、それも難しくシナリオ自体単調に筋書き通り進行していくだけなので感情が揺さぶられることはありません。

原作者の声は取り入れていても、原作ファンを全く理解していないのでその層にも突き刺さらない聖闘士星矢のタイトルが付いているだけの別物であり駄作だというのが率直な感想です。

本作は6部構成の予定らしいですが、おそらく興行収入も振るわないと思いますので、マリオの陰で静かに消えてください。

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