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映画『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』レビュー

レッド

”中国アニメ映画の傑作”

中国のwebアニメが原作という日本で注目された作品としては珍しい映画作品となります。中国アニメということで今まで気にも止めていなかった作品なので初めは半信半疑でサブスクで鑑賞しました。

観た感想としては本当に観て良かったと思える、傑作級の映画と自信をもって言える作品でした。

ネタバレは多少してますので、一応ネタバレ注意でお願いします。

それでは映画『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』レビューをしていきたいと思います。

作品紹介・あらすじ

作品紹介・あらすじ

妖精と人間が共存する世界を舞台に、猫の妖精・羅小黒(ロシャオヘイ)が旅をしながら人間社会を理解していく姿を描いた中国製の劇場アニメ。この世には妖精が実在し、彼らの中には人間の格好をして社会に溶け込んでいるものもいれば、山の奥で隠れて暮らすものもいた。森で楽しい日々送っていた猫の妖精・小黒(シャオヘイ)は、人間たちによって森が切り開かれてしまったことから、暮らす場所を探して放浪する。その旅の途中で妖精のフーシー(風息)、人間のムゲン(無限)と出会ったシャオヘイは、彼らとの交流を通じてさまざまなことを学び、成長していく。「羅小黒戦記」は、中国で2011年から配信がスタートしたWEBアニメシリーズ。国産アニメとして中国で徐々に人気を博し、2019年に劇場版として本作が製作されると大ヒットを記録。日本でも同年、字幕版が小規模公開され(チームジョイ配給)、映画ファンやアニメファンの間で口コミで評判が広がる。これを受けて20年11月にはアニプレックスが共同配給につき、花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏という人気声優陣による日本語吹き替え版「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」として全国公開される。

2019年製作/101分/G/中国
原題:羅小黒戦記 The Legend of Hei
配給:アニプレックス、チームジョイ
日本初公開:2019年9月20日

羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来 : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)

感想

本作では、初めは主人公のシャオヘイにとって人間という存在は悪として描かれています。人間の身勝手のせいでシャオヘイは生きていく居場所がありません。生きることに必死で食べ物を奪ったり、何とかして居場所を作ろうとしており、その中で居場所や食料、仲間を与えてくれたのがフーシーというキャラクターでした。

フーシーに与えられ自分の居場所を見つけることが出来たシャオヘイですがムゲンというキャラクターに壊されてしまいます。序盤はフーシーは自分に居場所を与えてくれた大切な仲間で、ムゲンは自分がやっと見つけることの出来た居場所を壊し、大切な仲間のフーシーを狙う悪者として描かれていきます。

この作品の素晴らしいところはフーシーの視点でもムゲンの視点でも共感できるところがあり、シャオヘイと同じように人間によって自分の居場所を奪われた人間に復讐心を抱くことも自然で妖精のための理想郷を作ろうとする流れにも一部共感できてしまいます。当然やり方は過激なので反対ですがフーシーの気持ちも理解することはできます。

またムゲンは人間であり、人間という視点から妖精と人間の共生を求めて行動している。フーシーとは真逆な思想と行動をしているキャラクターではあるのですが、どちらのキャラクターにも考えさせられるところが多々あり、興味深いストーリーとなっています。

シャオヘイの視点でも、ムゲンはシャオヘイの能力を使い危険な計画を考えているフーシーからシャオヘイを引き離し、ムゲンとシャオヘイの小さな冒険が始まるのですが、旅を通してシャオヘイが成長していく過程が非常に丁寧に描かれており、二人の旅路は観ていて微笑ましくもあります。

ムゲンは旅を通してシャオヘイに色々なことを学ばせようとしている、しかしシャオヘイにはムゲンが信用して良い人間なのか分からない、初めはムゲンから逃げようとあらゆる手段を使うのですが失敗します。しかしムゲンとの旅を通じて様々なことを学んでいきます。

妖精だから、人間だからというのが善悪を決めるうえで重要なのではなく、妖精にも人間にも良い人もいれば悪い人もいる。初めは悪い人だと思っていたムゲンが優しい人間であることに気付いた時シャオヘイは人間にも信用して良い人がいることを知っていきます。

初めは何も分からなかったシャオヘイがムゲンとフーシーなど様々な登場人物と出会い未来を選ぶ物語は一本の映画として非常に完成度が高く、中国制作のアニメ映画だからと敬遠して観ないのは本当にもったいないと思います。

総評

人間と自然が共生するといった難しいテーマを描いていながらも、分かりやすく興味深いストーリーに仕上げてきている映画で、近年では珍しく中国のアニメ映画ということで初めは半信半疑で観に行きましたが、観終わった後には満足感に満ち溢れていました。

アニメというジャンルへの愛情と日本の作品へのリスペクトも感じるアニメーション表現は、制作陣の本作への想いも感じ取れて観て本当に良かったなと思いました。

ネタバレになってしまうのでラストについては語れませんが、シャオヘイがムゲンとフーシーとの出会い最後にどのような未来を選ぶのか実際に観て私と同じように感動してほしいです。

アニメーション作品としても一本の映画として観ても非常に完成度が高く、ストーリーやキャラクターも魅力的なので大人から子供まで幅広い層に受け入れられる映画だと思います。中国制作の作品だからと敬遠せずに観てほしい傑作です。

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