映画『交換ウソ日記』レビュー
“ただの悪質ななりすまし行為”
「ハニーレモンソーダ」「PとJK」の吉川菜美が脚本を担当ということで嫌な予感はしていましたが、本作も非常に残念な映画だと感じました。
本当に高橋文哉や桜田ひよりなどのキャストを目当てに行くぐらいしかお勧めはできません。
登場人物に魅力がなく、キャラクターに全く共感できないのが致命的でした。
多少のネタバレはありとなっていますので、ネタバレ注意でお願いします。
映画『交換ウソ日記』レビューをしていきたいと思います。
作品紹介・あらすじ
櫻いいよの大ヒット小説「交換ウソ日記」を映画化した青春ラブストーリー。
高校2年生の黒田希美は、移動教室の机の中に「好きだ」と書かれた手紙が入っているのを見つける。送り主は学校で一番の人気者・瀬戸山潤で、希美はイタズラかと戸惑いながらも返事を靴箱に入れる。その日から2人の秘密の交換日記が始まるが、実は瀬戸山からの手紙は、全て希美の親友・松本江里乃宛てのものだった。しかし希美は本当のことを言い出せず、そのままやり取りを続けてしまう。交換日記を通して瀬戸山のことを知るうちに、次第にひかれていく希美だったが……。
「仮面ライダーゼロワン」の高橋文哉が瀬戸山、「ういらぶ。」の桜田ひよりが希美を演じる。「ハニーレモンソーダ」「PとJK」の吉川菜美が脚本を担当。2023年製作/110分/G/日本
交換ウソ日記 : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)
配給:松竹
感想(不満点)
瀬戸山からの「好きだ」と書かれた親友の松本江里乃宛ての手紙の返事を親友になりすまして交換日記をするという設定から切ないラブストーリーというのは無理があり過ぎると感じました。
希美は瀬戸山の手紙が自分に向けられたものではないことは早い段階から気付くわけで、自分宛の告白だと思い込んで結果的にメッセージのやり取りをしてしまったなら納得ですが、ウソの自覚があって他人になりすましてメッセージのやりとりをすることは普通に悪質です。
すれ違いのラブストーリーと言ってはいますが、本質はただの他人になりすます悪質な行為です。友達も好きな異性も騙す最低な行為であり、自覚があって相手を騙すという観点からすればオレオレ詐欺とやっていることは大差ありません。
親友に打ち明けたいけど言えない、瀬戸山に本当のことを言いたいけど言ったらこの交換日記自体が終わってしまう。その葛藤に切ないとでも感じてほしかったのかもしれませんが、そもそもラブストーリーにおいては、キャラクターを応援したいと思わせることが出来なければラブストーリーとして失敗だと思っています。
また自分を騙し続けた希美に惹かれていく瀬戸山にも一切共感できませんでした。
総評
ストーリーを納得のいく形に修正しました。以下が修正内容です。
- 瀬戸山のラブレターが自分宛の告白だと思いメッセージの交換をしてしまう
- 交換するうちに瀬戸山は自分ではなく松本江里乃に向けてメッセージを送っていたことに気付く
- 本当のことを伝えてしまったら関係が終わってしまうかもしれないと葛藤をしながらも、自覚がなかったとはいえ松本江里乃としてメッセージを送ってしまったことを瀬戸山に打ち明ける。
- 希美と瀬戸山の恋の行方がどうなるか……
上記の順番であれば、ウソをついている自覚がないため、ウソの交換日記をしてしまったことにも納得ができますし、希美を応援する気持ちも生まれると思います。
親友の松本江里乃も裏切り、瀬戸山の松本への恋心を弄び、自分のことしか考えていない希美に欠片も応援したいという感情は抱きませんでした。
また、散々自分を騙し続けた希美に惹かれていく瀬戸山の気持ちにも全く共感はできません。自分を騙し続けるという観点から言えば浮気も同じですよね。普通であれば冷める気持ちもこいつらなら恋心に火が付くんでしょうね。
登場人物に誰一人共感できないのがこの作品の一番の難点だと思いました。