映画評価

映画『リトル・マーメイド』レビュー

レッド

アニメ版は越えられない

ディズニーの人気作品でもある「リトル・マーメイド」の実写化で、主人公であるアリエルに新人の黒人の女優をキャスティングなどから、公開前から賛否が分かれていました。

ディズニーはピノキオのブルーフェアリー役に黒人起用、ピーターパンのティンカーベル役に黒人起用と過剰なポリコレでキャストが公開されるたびに批判的な意見が目立つようになってきました。

本作「リトル・マーメイド」でも同じくポリコレの波に飲み込まれてしまいました。

実写版のみの展開においてはネタバレなしで、アニメ版の展開においては一部ネタバレありとなっているので一応ネタバレ注意とさせていただきます。

作品紹介・あらすじ

https://www.youtube.com/watch?v=OpFAXqKxHaQ
(3) 「リトル・マーメイド」吹替版予告編(90秒)|6月9日(金)劇場公開! – YouTube

アンデルセン童話を原作とする1989年製作の名作ディズニーアニメを、「シカゴ」の名匠ロブ・マーシャルのメガホンで実写化したミュージカル映画。

海の王国を司るトリトン王の末娘で、世界で最も美しい声を持つ人魚姫アリエル。まだ見ぬ人間界に憧れる彼女は、嵐に巻き込まれた人間のエリック王子を救うため陸に上がる。人間界への思いを抑えきれなくなったアリエルは、海の魔女アースラに提案され恐ろしい取引を交わす。その内容は、3日間だけ人間の姿になる代わりに、美しい声をアースラに差し出すというものだった。

主人公アリエル役には新人女優ハリー・ベイリーを抜てきし、エリック王子を「ベラのワンダフル・ホーム」のジョナ・ハウアー=キング、魔女アースラを「ゴーストバスターズ」のメリッサ・マッカーシー、トリトン王を「ノーカントリー」のハビエル・バルデムが演じる。アニメ映画版も手がけた巨匠アラン・メンケンと、「モアナと伝説の海」のリン=マニュエル・ミランダが音楽を担当。

2023年製作/135分/G/アメリカ
原題:The Little Mermaid
配給:ディズニー

リトル・マーメイド : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)

評価点・不満点

  • 必要性の感じないポリコレ要素
  • 演出の違和感
  • 一部のキャスト、映像クオリティは素晴らしい

必要性の感じないポリコレ要素

公開前から主人公であるアリエルに黒人の女性が起用されていたり、セバスチャンなどのキャラクターがただのカニになっていたりと炎上まではいかないもののポリコレを意識したキャスティングと個性のないキャラクターには賛否が分かれていました。

個人的に鑑賞した感想としましては、アリエルに黒人の女性のハリー・ベイリーを起用したことは失敗だったと思います。ハリー・ベイリーが悪い女優だとか、黒人の女性を主人公にすることを否定的に見ているわけではなく、単純にアリエルのイメージに合わないからです。

アニメ版のリトル・マーメイドを観た人は実写にしたら誰がアリエルにキャスティングされるんだろうとか考えた人もいるかと思います。特に近年ではディズニーは実写化に力を入れており「ピノキオ」や「ライオンキング」、「美女と野獣」など数々のアニメ映画の実写化を行っているのでキャストの予想や、誰をキャスティングしたら面白いのか考察することは珍しくないと思います。

キャスティングを考えた際に一人でも黒人女性を挙げる人はいなかったと思います。それは、アリエルのイメージではないから。歌唱力も考慮してのキャスティングなのかもしれませんが、それでもアニメ版のイメージを大切にしてほしかったなといった感想です。

また、セバスチャンなどのキャラクターもアニメ版であった個性がなくなり、キャラクターとしての魅力がなくなってしまったのも残念です。

これではただのカニです。

吹き替えも当然行われていますが違和感が凄かったです。

難しいとは思いますが、モチーフとなった生物をそのままリアルで出すやり方ではキャラクター本来の可愛らしさなどがなくなってしまうと思います。

演出の違和感

アースラに声を奪われ声を発することができなくなってから、何故かミュージカルシーンが挿入されてアリエルが歌いだします。

心の声ではありますが、アリエルが声を出したいのに言葉で相手に伝えられない状況の中で心の声とはいえどもアリエルの歌でのミュージカルシーンはセンスがないと感じました。

アニメ版ではセバスチャンやフランダー、スカットルを始めとしたキャラクターがミュージカルシーンを盛り上げて言葉を失ってからのアリエルは言葉を発しませんでした。これは、アリエルが声で自分の気持ちを表現できない苦しみを観ている人にも感じてほしいからだと思います。

実写版ではそんなのお構いなしに、アリエルの声でミュージカルを挟みます。実際に声を発しているわけではないから良いじゃんという声も理解はできますが、納得はできません。個人的には徹底的にアニメ版と同じような工夫を凝らしてアリエルにはミュージカルシーンでも声を出さない演出を心掛けてほしかったです。

一部のキャスト、映像クオリティは素晴らしい

ここまでキャスティングについての不満点を述べてきましたが、一部のキャラクターに関しては非常に素晴らしいキャストだと感じました。

特にアースラ役のメリッサ・マッカーシーは素晴らしくハマり役だと感じました。おそらくアースラのキャスティングにおいてはポリコレとかは度外視し、本当にアースラ役に適任だと思う女優を起用したためだと思います。

また、映像のクオリティも素晴らしく特に「アンダー・ザ・シー」の曲がかかるミュージカルシーンは圧巻でアニメ版の雰囲気がしっかり実写版にも継承されていました。

ストーリーにおいてはラストがアニメ版と大きく異なる変更がされています。この最後どうなるかはネタバレになるので伏せますがこの点も評価の分かれる改変だと思います。

総評

キャスティングはいつものディズニーでポリコレ要素てんこ盛りで、いい加減必要性の感じないポリコレはやめてほしかったです。またライオンキングの時から感じていましたが、モチーフになった動物をそのまま映画に出すのはやめた方が良いと思います。

キャラクターの個性がなくなり、魅力が全くなくなってしまうと思います。それに言われなければただのライオンです。シンバだとは誰も思わないです。それと同じことがリトル・マーメイドでも引き継がれてしまっています。

演出においても、アリエルが言葉で自分の気持ちを表現できなくなったのならアニメ版と同様に声が出せず苦しむアリエルを徹底して表現してほしかったと思いました。セバスチャン、フランダー、スカットルといったリトル・マーメイドには多くの魅力的なキャラクターがいるのだから、それともハリー・ベイリーの歌声を披露するシーンを増やしたかったのかもしれませんが。

批判的な意見が多くなってしまいましたが、映像のクオリティはさすがのディズニーといったところで、「パート・オブ・ユア・ワールド」「アンダー・ザ・シー」などのミュージカルパートの完成度はアニメ版の魅力を引き継いでおり映画に引き込まれました。

また、アースラのキャストにおいては本当に素晴らしいキャスティングだったと思います。アースラのキャスティングから見ても、ポリコレを度外視してキャスティングを行えば、批判的な声のない映画になったと思うと本当にもったいない作品だなと感じてしまいました。

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